Nicotto Town



モモンガの日 (前編)

サン○オに捧げる。


・・・・

ブラックレイン(前編)

ACT1 Xマウスを追え

・・・

2013・6・29防衛省ー東京・市ヶ谷    ―日本 

本庁舎内で一人で廊下を歩いて来る制服姿の陸自幹部
制服の肩の部分には1尉(大尉にあたる)の階級章
・・・彼の名は狩野一馬 

陸上自衛隊幕僚監部内 情報課 特別調査班の
調査員である。

彼は廊下を歩きながら数日前に行われた(ある会議)
の様子を回想している。
・・・

(回想シーン)

会議室の様な場所に、数人の陸自幹部が集まって
  
いる.

中央にいる1佐の階級章を付けた男が何やら説明を
行い、左右のテーブルに座った幹部達がその説明に
聞き入っている。

説明を行っているのは甘賀崎一等陸佐
陸幕監部情報課特別調査班の班長である。

「現在の所、私の手元に届いている(キティちゃん)に
関する情報は以上である」

甘賀崎1佐はそう言った後、それまで手にしていた
書類をテーブルの上に置き、それからテーブルの
上に両肘を付いて手を組み合わせた。

「今の説明を聞いて、解かってくれたと思うが
もし我々が、この一件の処置を誤れば、それが
わが国の国土防衛に与える影響と言うのは
計り知れない物がある・・・」

「・・・」
一同は沈黙した。

「ばってん、問題は・・・」

特別調査員の一人丼宅1尉が、口を開いた
「その(キティちゃん)ば、今現在、日本国内に
おりんしゃらん言うこつばいね。」

「その通りだ。」
甘賀崎1佐が言った。

「つまり我々(自衛隊)の人間が、自ら、かの国に、乗り込んで
行動すれば、最悪の場合、深刻な外交問題にまで
発展する恐れがある。そこで・・・だ」
 

甘賀崎1佐はそう言って一同を見渡した。
 
 

「私はこの一件の解決は外部の人間に依頼するのが
最善の方法だと、考えている。」

「!」

その言葉を聞いた瞬間、一同の表情に驚きの
表情が走った。

「外部の人間と、言うのはつまり・・・」

「もちろん、(プロ)に問題の解決を(依頼)すると
言う事だ。」
「・・・」

一同は互いに顔を見合わせていたが、しばらくの
間は誰も言葉を発する者がいなかった。

(回想シーン終わり)

・・・

会議室に前回と同じメンバーが顔を揃え二回目の
会議が開かれている。

現在、丼宅1尉が席から立ち上がって報告を
行っている。

「オイは、ここ数日、デューク東郷に接触しようと
八方、手を尽くしたばってんが、駄目でしたばい。

彼は今週、イタリアからニューヨークに渡ったと
言う消息までは、掴んだっちゃけど、今はまた、
フランスに入国した言う話ですばい。」

甘賀崎1佐は報告の間、腕を組み目を瞑って
黙って聞いていたが、報告が終わると目を
開き、残念そうな、表情を見せた。

「ふむう・・・やはり、突然の事で、ゴルゴの様な売れっ子に
接触するのは難しいと言う事か・・・」

甘賀崎1佐はそう言って大きなため息を吐いた。

丼宅1尉に続いて、今度は、その隣に座っている

恵比寿2尉が立ち上がり、これまでの活動報告
を行った。
「私が以前報告した通り、(キティちゃん)には、
(猫娘)の異名を持ち、(小悪魔)であると言う噂が
ある事が解かっています」

「そこで、私はこの方面のプロフェッショナルとして
知られている(鬼太郎)氏に接触すべく、全力を挙げて
調査して参りましたが、残念ながら今日に至るまで
(鬼太郎)氏の消息も、(妖怪ポスト)の所在地も
まだ、掴めておりません。」

恵比寿2尉はそう言って報告を終えた。

「そうか・・・それは残念だが仕方無い。
・・・取り合えず、これまでの活動、ご苦労
だった。」

そして、私が報告する、番がやってきた。
私は立ち上がり、甘賀崎1尉に向かって
(室内の敬礼)を行った。

・・・

(三日後)

千葉・北流山7丁目児童公園    ― 日本

・・・

私は指定された、公園内のすべり台の下で、腕時計に
目をやった。
 

・・・

もう約束の午後3時からは三十分以上時間が
過ぎているが、市川市会議員のプリティ○島氏から
 
 
 
紹介された、その男は、まだ姿を現さなかった。

 
「いわゆるプロフェッショナルと言うのは、タイムに
ベリーシビアなんですね、ハイ」

ですから、プロミスのプレースには、早めに
サッと行って、パッと待っている。
これがいわゆるひとつのセオリーなんですね、ハイ」

私は議員から受けた忠告を思い出した。

何か私の方の手配に何らかの落ち度があるの
だろうか?」

しかし、この時間と場所を指定して来たのは、
あちらの方からなのだ。

とすれば、(彼)の方に何らかの(アクシデント)が
生じたと言う事なのだろうか?

私はあれこれと、考えを巡らせてみたが、もちろん
真相は全くわからない。

そもそも我々は(彼)の顔すら、全く知らないのだ。
議員も、そこまではよく知らないらしい。

我々は、この依頼に先立って、伝手を通じ
内調(内閣調査室)、米軍関係その他の機関に
(彼)に関する照会を行った。

しかし、送られて来た、どの回答を見ても、そこには
(NO FILE)、もしくは全ての欄にANK(Anknown
=不明)の文字が並んでいるばかりだった。

「要するに、まだどこにも面の割れていない、
(ニューフェイス)と言う事なのだろう。」

私の上司である、陸幕監部情報課 特別調査班長
甘賀崎1等陸佐は言った。
私は何と無く思うのだが、その様な人物に、今回の
(仕事)を依頼して、本当に大丈夫なのだろうか?

我々は、この(仕事の依頼)の為に、五千万円の
報酬を用意して、その他に三百万円の仲介料を、
既に議員に渡している。

「いわゆるひとつの、(票は金なり)なんですね。
ありがたく受け取っておきますです、ハイ」

議員は、そう言いながら、私が差し出した封筒を
胸ポケットにしまった。

「…ところで、その(彼)と言うのは、腕の方は本当に
確かなんでしょうか?」

私はその時、もう一度念を押してみた。

「彼は、(俺にやれない様な仕事なら、他の誰にも
依頼しようとは思わない事だ。)と言うのが、
口癖らしいですからね、ハイ。」

「彼ならきっと、メイクミラクルを、起こしてくれる
でしょう。
いわゆるひとつの、(これなら安心)ですね、ハイ」

議員は、そう言いながら、部屋の壁に掛かっている
大きな姿見で、バッティング・フォームのチェックを
やり始めた。

・・・

・・・まあ、今更あれこれ、考えてみても
仕方の無い事だ。

もはや事態の歯車は、動き始めてしまっているのだ。

その結末がどの様なものになるのかは、今は誰にも
わからない。

私に出来るのは、その時までに、私が直面する事態に
ベストを尽くす事だけだ。

「まあ、その辺はあんまり、気にせんでよかばい。
どうせ金は、国税から出とるったい。」

特別調査員主任の丼宅1尉は、言った。

・・・それにしても、約束の時間から、もう一時間が
たとうとしている。

もう今日は(彼)と接触出来ないだろうと、
思い始めた頃公園の入口に、人影が現われた。

・・・

(続く)

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2013/07/02 01:50
スナイパーを雇って誰かを暗殺?



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