Nicotto Town


ごんちゃん


-僕の帽子

ぼくの帽子             西条八十
母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで 谷底に落としたあの麦藁帽子ですよ
母さん、あれは好きな帽子でしたよ 僕はあの時、ずいぶんくやしかった
だけどいきなり風が吹いてきたもんだから
母さん、あのとき、向うから若い薬売がきましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした
そして拾おうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が背たけくらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子、どうなったでしょう?
あのとき傍に咲いていた、車百合の花は もうとうに、枯れちゃったでしょうね。
そして、秋には灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で、毎晩きりぎりすがないたかもしれませんよ。
かあさん、そして、きっと今頃は、   今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪が降り積もっているでしょう、
昔、つやつやひかった、あの以太利麦(いたりあむぎ)の帽子と、
その裏に僕が書いた  Y.Sという頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。

アバター
2013/07/31 20:53
ごんちゃん、コメありがとう。
あきちゃんは、あったかいこころで応えてくれる大切な友達です。
私、ごんちゃんも大切な友達だと思ってます。
これからもよろしく。
東京、気を付けて行ってらっしゃい^^
帰ったら、またね。

アバター
2013/07/22 07:31
『人間の証明』からでしょうか?

映画は観て無いのですが・・・

暗い記憶があります^^
アバター
2013/07/19 20:33
初めて目にした詩です。

なんだか、その場の光景が浮かんでくるようなあったかい詩だね。
私の帽子は、ドブ川に落ちて、生涯を遂げましたが。

この帽子は、いつまでも、そこにあって、何かの役目を果たしてくれていそう。
どんな役目かは、分からないけど・・・。

確実な存在感を感じました。

ステキな詩(話)を、ありがとう!!!



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