Nicotto Town



私が腐ってると言ったら、腐ってるんですよw

たぬき



「遠矢~、ちょっと来てみ。たぬきたぬき」
こんな住宅街にタヌキが来たりするんだろうかとも思ったけど、
「早く、早く。ただしそーっとな」
和也さんが窓の外を見ながら手招きするのでのぞいてみると…
その指差す先には、「 ちつてと」と書かれた紙がぶら下がっていた。
"た"抜き
和也さんの顔を見ると、にへらっと笑っていた。
「・・・小学生レベルですね」


「遠矢~、ちょっと来てみ。たぬきたぬき」
数日後、和也さんが懲りずにまた俺を呼ぶ。
「いくらなんでも、同じ手に引っ掛かったりしません」
そう言い返すと、
「違うって。今度は紙じゃないから」
そう言って手招きするので、しぶしぶそちらへ向かうと、
その指差す先には、もこもこのたぬき・・・
のヌイグルミがあった。
「…どうしたんですか? これ」
「買ったの」
ああもう、何考えてるんだかわかりませんよ、和也さん。


「遠矢~、ちょっと来てみ。たぬきたぬき」
さらに数日後、和也さんがまた俺を呼んだ。
「何回やったら気が済むんですか?」
そう言ったら、
「違うって。今度はちゃんと生きてるやつ!」
そう言って手招きするので、しょうがなしそちらへ向かうと、
「ほら、たぬき」
そう言って目の前に差し出されたのは、鏡。
「誰がたぬきですかっ」
「え、だって似てるじゃん」
似てません。和也さんの方がよっぽどたぬきです。
「おれはどっちかっつーときつね顔だと思うけど」
鏡を覗き込んで、「いやー、男前だな~」と言いつつポーズをつけていた和也さんがそう言い返す。
そうじゃないです。
人をおちょくって喜ぶ、和也さんは悪いたぬきです。




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