通夜で寝ずの番ってのをしてると
何せ暇なもんで、普段は片手間にしか
しないような考え事をしてしまう。
だから、たまには面白味もないことを
書いてみようかと。
ほら、読者無視して書くって宣言してるしね。


「恋人が欲しい」
この言葉に偽りはない。
だが、その「先」というのが、どうにも
私の頭の中にはないのである。

三十路を迎える前に結婚したいという女性の
一部は、愛する相手との結婚生活ではなく、
既婚という事実を欲しているってのと似ている。

身もふたもない言い方で白状すれば、
エロいことはしたいし、ラブラブ甘々な
やり取りも憧れないわけじゃない。

だが、私が最も欲するのは、そういうこと
ではないのだ。
だから、恋人になった後のことが分からない。

「好きな相手なら自然とわかるよ」
なんて教えてくれた人も居たが、異性として
好きというのがどんな感覚なのかさえ
分からなくなりつつある現状だ。

そして、私が求めることというのは恐らく、
本気で牙を剥き出しにし合って判明することで。
分かった時には、男女どころか友としての仲も
潰えた後になるのである。

「深く考えずに付き合えば?」なんて助言も
一度ならずあった。
確かに一理あるのだろう。
深手を負うのが私だけならそうしたい。
だが、相手は私以上に多くの時間を
無駄にしてしまうことになるだろう。

そして、私は何を隠そう嘘が下手だ。
単純に「可愛い」とか、友達として「好き」と
言うのは自信を持って正直に言える。
だが、踏み込んで念を押すように本当かと
問われれば、途端にボロが出るだろう。

「恋人が欲しい」
この言葉に偽りはない。
だが、恋人になった「先」が明確に見えない
状態で、異性として好きだと明確に言えない
ままに踏み込むのは、どうにも難しいのだ。