Nicotto Town


マイペースにやってます♪


第190回「おやすみ、メアリー」

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「あら、もう、こんな時間!」

大富豪の末っ子メアリーは、スマホとファッション雑誌を
瞬時に片付けると、瞬く間に、いつものネグリジェに着がえました。
そして、愛用の白いスリッパに、足をすべり込ませます。

襟元にはピンクのリボンがふんわりと付いていて、
ほかの部分は雪のように純白で、清楚な光沢がありました。
メアリーは、シルクだけでは寒いので、
白いカシミアの糸が、いくらか混じっていたのです。

そして、さらに、長袖のボレロを羽織ります。
全体が上品な生成り色をしていて、よく見ると、織り柄が散りばめられていました。

部屋を出ると、メアリーは、
廊下を進み、階段を下りてゆきながら、みんなに言います。

「おやすみなさい!」

パパ、ママ、きょうだいたちも、みんな、あいさつを返します。

「おやすみ」
「おやすみなさい」

メイドたち、ボーイたちも、あいさつを返します。

「おやすみなさいませ」

執事が、星がささやくように、穏やかな笑みで言いました。

「お嬢様、おやすみなさいませ。よい夢を」



それから、メアリーは、1杯のホット・ココアを飲み干すと、
階段を上り、寝室をめざします。


(夕涼みは気持ちよかったけど、冷えてきたわね…)


計算が得意で、寒がりなメアリーは、
夕涼みの風をうけて涼しい温度になった木の手すりから離れ、
反対の奥の側から、早足に登ってゆきました。


住み込みのメイドとボーイ以外は、
みんな、1人1部屋ずつの寝室を持っています。


メアリーは、部屋にもどると、駆け足で戸締りをし、
断熱に優れたカーテンをさっと閉めました。

それから、襟元のリボンと同じ色のブランケットを引きずり、
床にすわっている、猫のぬいぐるみに、言いました。

「おやすみなさい!」


メアリーは、ボレロとスリッパだけを脱いで、
ふかふかのベッドで、眠りました。

――明日も、高校生活をたのしむために。


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コーデ広場
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