第217回「エッグをさがす園児」
- カテゴリ:コーデ広場
- 2018/04/14 17:36:25
いってきます! イースター・エッグをいっぱい見つけてくるからね~!
少女は、買った花を抱えて、
いつもの喫茶店に入ってゆきます。
窓際の席で、ホット・コーヒーを
ゆっくりと飲み干すと、
家路を急ぎます。
ーー家の3階。
自室にバケツを置いて、花をそこへ大切そうに入れると、
少女は、ペットのえさを買いたしに出かけます。
(あのショッピング・モール、
炭火コーヒーが飲めるんだよね♪)
畑のあぜ道をスタスタと歩いてゆくと、
30分ほど歩いたところで、
元気な声が、青空に響きました。
「いってきま~す!」
おどろいて、声のするほうを見ますと、
無邪気な子供が、大きく手をふっています。
水色の制服を着て、黄色いバッグを肩からさげています。
この近くに新しくできた、公立の保育園の制服でした。
「この近くの子かな?
あの帽子、私とおそろいだ♪」
少女は、この子のほうへ歩いてゆきます。
「イースター・エッグを
いっぱい見つけてくるからね~!」
今度は、白い袋をぶんぶん
ふり回しながら、叫ぶと、両親らしき人も
にこやかに手をふり、静かに帰ってゆきました。
その次の瞬間、子供がふいに、ふり返り、
少女と目が合いました。
ふんわりボブの軽やかな黒髪に、
くりっとした大きな瞳が映えているのが、
少し神秘的でもありました。
右の瞳は髪と同じ色、
左の瞳は、銀色にきらめく月のような色ーー。
「卵を見つけたら、その袋にいれるの?」
「うん!」
その子供は、
心から、にっこりとほほ笑んでいます。
「じゃあ、がんばってね」
「ありがとう! バイバイ!」
「バイバイ♪」
2人は、手をふって別れました。
(男の子かな? 女の子かな?
素直で、かわいいけど、ちょっと不思議な感じの子……)
ーー30分後。
ショッピング・モールから徒歩7分ほどの
立派な本屋さんが見えてきました。
つづく
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚
1つ前の おはなし
第216回「育てた花を売る、フランカ」
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=454893&aid=65912436
.