第195回「2杯目のスピンク」
- カテゴリ:ニコッとタウン全般
- 2017/06/30 16:52:06
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「女子寮で4人でルーム・シェア編 」第3回
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第2回
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雨ごいをする話
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「『とりあえず、ビール!』ってよく言うけど、
私は吟醸(ぎんじょう)派よ。普段は、チューハイだけどね。
ビールは、間にはさむほうが好きなの♪」
スピンクは、よく飲みながら、そう言っていました。
そんなわけで、酒豪として知られています。
お酒に強い人のことです。
「去年、成人したから、大丈夫よ♪」
最高の笑顔で、おしとやかな声で、そう言います。
いつも、個人差で、1人だけ酔いつぶれないのが不思議です――。
*+☆*☆*☆+*
――それから、1週間。
もう6月になったのに、
わずかな雨しか降らないと、
人々は、そこかしこで、心配そうに話し合うようになりました。
*+☆*☆*☆+*
7月が近づいてきた、ある日のこと。
宿題をやっていた順子が、ふいに手を止めて、言いました。
「急に、くもってきましたね」
カラティアは、ベージュのビーチ・ベッドにあおむけになって、
おとといの新聞をかぶって、寝息を立てています。
――デザイン画の提出が終わってから、ずっとです。
ヴェーネ=マリアが、ご自慢の髪を整えながら、
うれしそうに言いました。
「梅雨が来ないと、
ヴァカンスの季節がはじまらないのよね~。
夏の到来か!? さぁ来い!」
順子は、お嬢様の気迫に圧倒されながら、ぽつりと言いました。
「ずいぶん、たのしそうですね」
「もちろんよ」
ヴェーネ=マリアは、高貴な瞳をきらめかせ、
うなづきながらそう言うと、上品な光沢を放つ、すべらかなくしを
音もなく、シルクのスカーフの上に、ふわりと置きました。
そして、静かに、言いました。
「来るかしらね?」
――ポチャン。
言い終わった次の瞬間から、小さな雨粒たちが、
くもり空から相次いで落ちてきて、
――ポチャン。ピチャン。ピチャ…。
瞬く間に音が連続してきて、
≪雫≫は≪雨≫に変わったのです――!
「雨だわ!」
スピンクは、急に瞳をキラキラさせ、耳をピッと立てて、
フィギュアを眺めながら焼き鮭を食べていた手を止めました。
そして、タンスにしかれた布団から
ひらりと飛び降り、見事な着地を披露したかと思うと、
手品のようにパッと出したワイングラスに白ワインを注ぎます。
2缶目の無添加トマト・ジュースも開け、
右手と左手に持って、すっと立ち上がりました。
足早に、縁側へと向かいます。
そして、本当にうれしそうに、
降りしきる雨を見つめたり、空を見上げたりしては、
どちらかを少しだけ、飲むのでした。
*+☆*☆*☆+*
「それ、2杯目ですよね?」
宿題のノートと教科書を片づけながら、
順子が厳しい表情で尋ねると、スピンクは、ギクリとしてから言いました。
「細かい子ね…。
でも、安心して。
ちゃんと野菜もとるから、大丈夫よ♪」
「ま、いいんじゃない?」
ヴェーネ=マリアは、てきとうそうに言うと、
ショッピング・モールのサイトを開き、ビキニを選びはじめました。
そうしているうちに、明日の持ち物を用意し、
明日着ていく制服もハンガーにかけた順子でしたが、
つかれたのか、青いじゅうたんの上で眠ってしまいました。
見ると、爆睡していて、皆の話し声も、
ますます強まる雨の音も、カエルたちの歓喜の歌も、
一切なにも聞こえないようでした――。
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コーデ広場
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キラキラ・ラインをお借りしたサイト
顔文字ステーション
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ありがとうございます(*^▽^*)
読んでいただいて、うれしいです。
これからも、がんばって書きますね♪
酒豪なんですね~♪^p^w
楽しい一コマありがとう~♪