第200回「願い事をしにきた、近所の女の子」
- カテゴリ:ニコッとタウン全般
- 2017/07/06 09:00:04
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7月7日。
女の子は、小さな声で、祈るように言いました。
「舞台が成功しますように」
――そうして、ゆっくりと目を開けた、その時です。
「もしかして、エヴァさん!?」
金髪緑眼の美少女が、
瞳を宇宙のようにキラキラさせて、見つめます。
「ええ。私を…知ってるの?」
「ファンなんですっ!!」
がしっと両手を同時に握りしめられ、
エヴァはたじたじです。
「メアリー、落ち着いて。
その人、困った顔してない?」
少女が困惑顔で言うと、フランカもうなづきます。
「ああ! ごめんなさいっ、私ったら」
突然、ぱっと両手をはなされ、
エヴァは一瞬、よろめいてから言いました。
「私は、エヴァ=ヴァーゴ・セシア。
去年の夏に高校を中退して、歌手としてデビューしたの」
そう話す姿は清楚で、
藤の花のように少しミステリアスで、
すずらんが揺れるような清らかな声なのでした。
*+☆*☆*☆+*
「まだ無名なのに、
ファンの人が…いたなんて…」
エヴァは、そう言いかけると、
海のように神秘的な黒い瞳をうるませました。
メアリーは、ますます見つめます。
そのとなりに立っていたフランカが、
微笑んで、ぽつりと言いました。
「よかったわね」
「ええ…」
エヴァは、一瞬、清楚な指で涙をぬぐってから、
静かな声で言いました。
「大きな舞台は初めてだから、心配で、
気分転換のために、近所を歩いていたの。
そしたら、この立派な竹を見つけて、ほかにも短冊や
かざりが下がっていたから…
ごめんなさい、勝手に、竹に結んでしまって」
すると、フランカが言いました。
「大丈夫よ。
もともと、近所の人にも
書いてもらおうと思ってたの」
*+☆*☆*☆+*
ふいに、少女が、尋ねました。
「近所の人なの?」
「ええ」
2人は同時に言い、フランカが説明します。
「私が回覧板を渡す人よ。
今年の1月に、引っ越してきたの」
「あれ? メアリーは?」
少女がきょろきょろとしたとたん、
スカートのポケットで、スマホが振動しました。
「なんだろう?」
少女が取りだして見ると、
メアリーからのメールでした。
メールには、こう書かれていました。
【 今日、オペラを観に行く日だったわ!
ごめんなさい! 】
少女は、そのことを2人に伝えると、
スマホをポケットにもどして、言いました。
「私も書いていいの?
そこに、なにも書いてない短冊がかかってるけど」
もちろん、と答えると、
フランカは好きな短冊を選んでもらい、
はずして持ってきて、少女にそっと手渡しました。
「ありがとう!
筆、借りていい?」
少女は、迷わず、さらさらと書きはじめました。
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