Nicotto Town


今年は感想を書く訓練なのだ


モン太

懐かしい文集を発見。
私が中学の時に書いたらしい童話を上げさせて戴きます。
なんかほっこりする。

 『モン太』
   その日さるのモン太は、いつもとかわらずおち葉のベットの中で朝をむかえた。家のすぐ下の谷川までおりていくと、もうおてんとう様は、向いのリスの家にかくれて、ちらちらと、まばゆく顔をのぞかせていた。モン太は顔を洗って、カシの木の下に置いてある岩の上に腰をかけて、遠くの雪げしょうをした立山をながめていた。すると上から、「モン太、朝ごはんですよ。」「早くしないとまた学校に遅れますよ。」と母さんの声がした。モン太の家は、そのカシの木の上にあったのです。
   朝ごはんをすませると、モン太は、せわしく谷川の細道をかけだしていった。谷のがけをかけあがると、岡が見える。遠くの方から風に乗って、学校のチャイムの音が聞こえた。「しまった。また森山先生にしかられる---。」モン太は、前よりいっそうせわしくかけだした。しかし、丘の上についた時は、もう、くまの森山先生の、みんなをしかる大きな小言が、かきねをこえて伝わってきた。モン太の通っている学校は、丘の上のすみきった空の下にあった。モン太は、小学校の五年生である。
   教室の戸をあけると、「こら!モン太。また遅刻したな!」「モン太わかっているだろうなあ。遅刻したらどうなるか」「はい、わかっております。」モン太は言うなりかけ出して、教室のすみにおいてある戸だなから、わら半紙をとり出した。自分の席につくと、もうみんなの笑いに包まれていた。一時間目の授業は、理科であった。というのが本当であるが、きょうは、三学期最初の日である。モン太が、さっき戸だなから、わら半紙をとり出したのは、遅刻すると、前の日にでた宿題を、その日のうちに、五倍にして出すというクラスのきまりがあるのである。それにもまして、冬休みのあけであるから、いつもより大変である。それなのにモン太は、平気な顔をしていた。ちょいとモン太は、となりをのぞいた。とたん、モン太は、真青な顔になった。いつも赤い顔をしていたモン太が真青になったのです。
   いつもは、となりにいた西洋ざるのサル太に、ほとんどやってもらっていたのですが、サル太は、二学期の暮れに転校していたのです。モン太は、その事をすっかりわすれて、冬休みをすごしてしまっていたのです。ひたいから汗がどくどく出てきました。目は開いたきり、モン太は、ちぢんでしまってブルブル。先生は、ニヤリとニガ笑い。みんなもニタニタモン太を見つめていたのです。じだんだ踏んでくやしがっても、どうにもなりません。
   モン太がそうしているうちに、通知表の返かん・宿題の提出をすんでいました。その後の先生の話も耳にはいりません。掃除の時も、いつもよりひどく立んぼうになって、そうじをさぼっていた。そうじが終わったころ、ようやく気を取りもどしたモン太は、冬休みの宿題に取りかかった。一とおり宿題がすむと、さっきまでモン太を冷かしていたキン太や、右五郎たちが、丘をくだって家にかえるのが見えた。それを見ているモン太は、キン太たちが小さくなるにつれて、あたりがいやにシーンとしてきて、太平洋の小島に一人残されたような気がしてきたのである。
それからは、カラスの鳴き声や、月の光におどかされて、エンピツを握っているのがやっとだった。いつも宿題をやってくれるサツ太のありがたさが、モン太は暗くなるにつれて身にしみてわかってきた。
   ブルブルふるえていると、先生がきて、「わかったか。帰ってよろしい」と一言いって、森山先生は帰っていった。モン太はその晩、サル太とすごしてきた、たのしい夢を見ました。モン太は、もうこんなことはないでしょう。とことがどっこい、そうは問屋がおろさない。モン太はいつものように、宿題をわすれ、遅刻をして、先生の手をやかせ、岡の上の小学校を卒業して、中学校に入り、そこでも先生の手をやかせたんだってさ。

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2019/11/19 11:22
モン太の話。よくぞ残って、出てきましたね。
昔の文章は自分の物ではないように思います。
それが自分と知ると分身に出会うことになる。
こうした関係性はいいですね。大切な宝もの。
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2019/11/06 22:25
セカンドさん
ゆうなさんコメントありがとう。
これは体験談から書いたお話です。
 先日、中学校の同窓会(全学年2クラス)があって、男性二人女性3人が(多すぎ)次回の幹事に選ばれた(デキレース)のですが、男の相方がここに出て来るサル太君なんですね。作中とは違い中学二年の2学期に転校していったのです。そして3学期の国語の時間に創作したものが文集にあったので、懐かしくなって押入れから引き出したら記憶の通り載っていたのです。
 俺ってこんなの書いてたんかよと、自分でも驚きですね。比喩など遠回しに語ることなくストレートな表現に、子供らしい何か忘れてしまった純粋な心が見て取れて何だか恥ずかしいです。しかし、もうこのように語る事は難しいのでしょう。いやな大人になったものです。
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2019/11/06 15:11
ふふ 可愛らしいお話ですね。
吉春さんの体験談かしらと思いつつ読んでおりました笑
(きっと違うのでしょうけれども)

サル太君を見失いましたモン太君の慌て様は、「手伝ってくれていた相手がいない」との事だけでは無いのでしょう^^
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2019/11/06 01:08
中学校の時に書いた童話ですか
素晴らしいですね

自分の小学校のころを思い出します
けっこう悪さを?していました^^

モン太君の心情と
厳しくもあり優しい先生との交わりが良いですね

モン太君はきっと大物になること間違いない
そう感じました





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