Nicotto Town


天使の棲む街


紫の上の優しい嘘


ABCのアルバム、まだ取りにいけてないので苦し紛れにつなぎで
この間のシングルにちなんだこんなタイトルですw

皆様は「源氏物語」を読んだ事がありますか?
数多く登場するヒロイン達の中で誰が一番好き?という事が
よく女流作家さん等の間で語られるのですが、
意外や意外!?メインヒロインであるはずの紫の上は案外人気がないのです。

どうやら紫の上は聞き訳がいい優等生過ぎて面白みがないと思われるらしく
むしろ女性には、自由奔放な朧月夜や
生霊になるまでの深い情念を持った六条御休所の方が人気があるようです。

でも果たして実際に紫の上は本当に面白みのない女性だったのか?
と問われれば否、と私は断言します。

ご存知の方も多いとは思いますが、
紫の上は源氏の初恋の君でもある藤壺の宮の兄の娘…つまり姪にあたり、
その面影をよくうつした幼い少女でした。
正妻腹でなく父宮もあまり気に掛けてなかったのを幸いと、
紫の上を育てていた祖母が亡くなった際、どさくさ紛れに半ば誘拐まがいに
自分の下へ連れて来られた…いわば始めから初恋の人の形代として
生きていく事を運命付けられた少女だったのです。

その後の有名な光源氏計画wの養育のたまものか、
容姿、教養、性格と全てにおいて彼女は源氏好みの素晴らしい女性へと成長します。
時には源氏の浮気に心を悩ませつつも
「すべて女はやわらかに…」
女性は嫉妬し過ぎるのも困りものだが、さりとてしてくれないのも張り合いがない。
程ほどにこんがり妬いてくれるのがいい…等と
現代の女性達が聞いたら怒りそうな注文ですがまさにそんな教えの賜物か
可愛らしく嫉妬してくれる理想の女性だったようです。

そんな彼女に暗雲が立ち込める晩年。
そろそろお互いいい年齢になり、
さすがにこれからはそれ程酷い浮気に悩ませられる事はないだろうから
夫婦2人ゆっくりとした晩年を過ごしたいと思っていた矢先の出来事。
朱雀院(源氏の兄院)の女三の宮のご降嫁の話が源氏の元へと舞い込みます。
兄の娘なのだから源氏にとっては姪にあたるはずですが、
この時代での結婚には問題ないのです。
既に40を越えていた源氏がまだほんの13かそこらの小娘をさすがに貰うわけがない
と誰もが思っていたのですが、
そんな予想に反して源氏は彼女を引き取る事を承諾してしまいます。
実は女三の宮もまた藤壺の宮の姪にあたる少女だったのです。

既に紫の上という非の打ち所がないとも言える妻がいるというのに、
それでも幼き日の初恋の面影を求めて、またその少女に期待してしまったのでしょう。
男というのはいつの時代も昔の恋を引きずるものなんですね。

降嫁して来たとは言え、内親王…つまりは皇族です。
源氏は彼女に自分の屋敷の寝殿を譲ります。寝殿とは、正妻にのみ許される部屋です。
そうです、それまで自他共に実質源氏の正妻と思われていたけれど、
正式な結婚をしていなかった紫の上は正確には源氏の正妻ではなかったのです。
この出来事で自分のとても儚く弱い立場を痛感させられ、様々な心痛が重なって
彼女は病気になってしまいます。

その後、泣きながら看病する源氏を見て
「この人は私が居なくなってしまったらどうなってしまうのだろう」
そう心配しながらも看病の甲斐なく彼女は儚くなってしまいます。
亡くなる前にせめて出家したいという願いも源氏の反対を押し切ってまではせず、
最後の最後まで彼女は源氏の理想の恋人として逝きました。

だけれど彼女は本当につまらない女性だったのでしょうか?
確かにいい子すぎたし、それ故に心労を溜め込み過ぎて結果寿命を縮めたように見えます。
彼女が嫉妬や不安や怒りや悲しみ…様々な感情を涙で濡れた袖の内に隠していたのは明らかです。
それがどんなに大変な事なのか。
いい子という単語で片付けてしまうのは違うのではないのでしょうか?
優しい嘘をつくのは悲しみが大きい程強さ、優しさが必要です。
彼女はそれだけ内に強さを秘めた人物だったのです。

もし貴方の部屋の片隅に「源氏物語」の本が置いてあるのなら、
彼女のついた優しい嘘をもう一度かみ締めて読んであげてください。
もしかしたら、貴方のそばに居る誰かの優しさと重なるかも知れないから…。

アバター
2009/08/30 04:49
>アルク様

後悔するくらいなら努力…確かにその通りですね。
アルクさんのその前向きなスタンスは私も見習らわなくては。

>失敗がなければ経験が得られないのもまた事実。

小説もひとつの先人の経験と知恵が詰まったものなのでしょうが
それを生かせるかどうかは本人の努力次第ですものね。
アバター
2009/08/29 18:39
奥深いですね^^;
なるほど、母親の愛情ですか…
確かにそうなると意味合いは大きく変わってきますね。
情と偏に言ってみてもその表情は様々で、
家族、友人、恋人、その他wに向けられるものは全くの別物でしょうから。

後悔するくらいなら努力するべきです。
しかしながら、失敗がなければ経験が得られないのもまた事実。
このジレンマだけはどうにもなりませんね…。
先人の経験と知恵を拝借し、知識を得て、それでもだめならその先
といった具合にがんばるしかありませんねw
アバター
2009/08/29 18:06
>アルク様

実の所、女性は過去の恋を引きずらないか?と言ったら嘘で
案外引きずる人は多いと思うんですが
どうしても男性の方がピックアップされやすいんですよねw
まぁ女性はある程度引きずってても唐突に吹っ切れたりするからなのかも^^;

紫の上は源氏を愛していたのは本当でしょうが、
これ以上ないくらい手痛い裏切りを経験して
どこか恋人というより母親としてに近い愛情に変化した所も
あったのかもしれないなぁと個人的に思っています。
多分ずっと恋人としての愛情は保っていられなかったんじゃないかなぁ?なんて。

一度変化してしまった愛情を戻す事はほぼ不可能に近い事なので、
出来る事なら間違わないように、後悔しないように生きたいものですね。
実際に生きてる私達も。
アバター
2009/08/29 16:28
一概には言い難いのですが…
「いつの時代も男とは過去の恋を引きずる者」
というのは、否定したい所ですが納得ですw
そういった友人が自分の周りに多いからですねw
もちろん自分も含めて・・・の話ですが^^;

「源氏物語」について自分は読んだ事がないので何も言えません。
ですが、ここに出てくる紫の上の気持ちは伝わってきます。
彼女は本当に源氏を愛したのでしょうね。



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