Nicotto Town


マイペースにやってます♪


第200回「願い事をしにきた、近所の女の子」

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7月7日。

女の子は、小さな声で、祈るように言いました。


「舞台が成功しますように」

――そうして、ゆっくりと目を開けた、その時です。


「もしかして、エヴァさん!?」

金髪緑眼の美少女が、
瞳を宇宙のようにキラキラさせて、見つめます。


「ええ。私を
知ってるの?」
「ファンなんですっ!!」

がしっと両手を同時に握りしめられ、
エヴァはたじたじです。


「メアリー、落ち着いて。
 その人、困った顔してない?」

少女が困惑顔で言うと、フランカもうなづきます。

「ああ! ごめんなさいっ、私ったら」


突然、ぱっと両手をはなされ、
エヴァは一瞬、よろめいてから言いました。

「私は、エヴァ=ヴァーゴ・セシア。
 
去年の夏に高校を中退して、歌手としてデビューしたの」

そう話す姿は清楚で、
藤の花のように少しミステリアスで、
すずらんが揺れるような清らかな声なのでした。


*+☆**☆+*


「まだ無名なのに、
 ファンの人が
いたなんて…」

エヴァは、そう言いかけると、
海のように神秘的な黒い瞳をうるませました。

メアリーは、ますます見つめます。

そのとなりに立っていたフランカが、
微笑んで、ぽつりと言いました。

「よかったわね」

「ええ…」

エヴァは、一瞬、清楚な指で涙をぬぐってから、
静かな声で言いました。


「大きな舞台は初めてだから、心配で、
 気分転換のために、近所を歩いていたの。
 そしたら、この立派な竹を見つけて、ほかにも短冊や
 かざりが下がっていたから…
 ごめんなさい、勝手に、竹に結んで
しまって」

すると、フランカが言いました。

「大丈夫よ。
 もともと、近所の人にも
 書いてもらおうと思ってたの」


*+☆**☆+*


ふいに、少女が、尋ねました。

「近所の人なの?」

「ええ」

2人は同時に言い、フランカが説明します。


「私が回覧板を渡す人よ。
 今年の1月に、引っ越してきたの」


「あれ? メアリーは?」


少女がきょろきょろとしたとたん、
スカートのポケットで、スマホが振動しました。

「なんだろう?」

少女が取りだして見ると、
メアリーからのメールでした。

メールには、こう書かれていました。


 今日、オペラを観に行く日だったわ!
  ごめんなさい! 


少女は、そのことを2人に伝えると、
スマホをポケットにもどして、言いました。

「私も書いていいの?
 そこに、なにも書いてない短冊がかかってるけど」

もちろん、と答えると、
フランカは好きな短冊を選んでもらい、
はずして持ってきて、少女にそっと手渡しました。

「ありがとう!
 筆、借りていい?」


少女は、迷わず、さらさらと書きはじめました。



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