Nicotto Town


マイペースにやってます♪


第199回「夜のデート 1」

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「本当に、なにも思い出せないわ」
「そうですか」

女の人は、どうやら記憶喪失のようでした。


*+☆**☆+*

水色の髪の青年は、交番からの帰途で
倒れている女の人を見つけ、そっと抱き上げると、
お姫様抱っこで連れて帰りました。

駆け寄って声をかけても、答えなかったからです。


それから1ヶ月と3週間、
青年は、家で、女の人を看病していました。

――青年は、1人暮らしでよかった、と思っていました。

だれにも気兼ねなく、看病ができるからです。
青年には、ペットもいませんでした。


*+☆**☆+*

看病のかいがあって、女の人は、体は健康になりましたが、
記憶がないことをさみしがっているようで、
一瞬、悲しそうな表情を浮かべることがありました。

窓からの月明りに照らされた横顔は、
お姫様のように見えました――。


青年は、そんな様子をかわいそうに思って、
毎日、てきぱきと美味しいご飯を作り、
せっせと野菜を育てました。

(万が一に備えて、
 仕事の合間に耕しておいて、正解でした)


2人は、いつしか惹かれあうようになりました。


*+☆**☆+*

ある朝、青年が家から出ると、
女の人が起きてきて、駆け寄りました。

「待って! どこへ行くの?」

「交番です。
 落とし物を届けて、今日で、ちょうど3ヵ月ですから」

2人が交番に着くと、お巡りさんは、
落とし主が取りに来なかったことを告げました。


それは、まばゆい三日月の小舟でした。
船も、それをこぐためのオールも、金色にきらめいています。
この世の物とは思えません。

「けっこう場所をとりますが、使いますか?」
「はい。もったいないので」

青年は、手早く手続きを済ませ、
笑顔のお巡りさんに深々とお礼を言うと、
軍服のポケットから、ロープを取りだしました。

そして、瞬く間にオールを
小舟にくくりつけ、
両手で軽々と持ち上げると、女の人に声をかけ、
2人は歩きだしました。


*+☆**☆+*

家に着きました。

草の上に小舟を下ろし、解いたロープを片づけた

青年がもどってきたとたん、女の人が上機嫌に言いました。

「素敵ね。これで、デートしましょうよ!」
「え?」

女の人は、青年の両手をギュッと握りしめ、
青年の瞳をまっすぐに見つめたまま、
急に顔を近づけて、言いました。


「今日のお仕事が終わったら、これに乗って、迎えにきて」
「……はい///」



青年にとって、2度目の恋でした。



「では、行って参ります」
「いってらっしゃい!」

青年は、小舟に乗って手を振ると、
慣れた様子でこいでゆき、小舟をつなぐための
秘密の場所へと向かいました。


(このまま空軍の基地へ行くのは、目立ちますからね…)




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ーデ広場
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=454893&aid=64489726

【イベント】天空の海
http://www.nicotto.jp/town/monthlyevent/eventpage?event=opensea2017


キラキラ・ラインをお借りしたサイト

顔文字ステーション

http://kaosute.net/genre/line.shtml



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2017/07/09 21:17
>ちょこみんとさん

ありがとうございます(^ー^)
撮影できた時は、うれしかったです。

小舟って、なんか惹かれるんですよね。
アバター
2017/07/09 21:11
コメントありがとうございます!

ちょうど誰もいない時に撮影できたのですね。
とっても良い雰囲気ですー

キラキラ光りながら静かに進んで行く小舟でデート…
とてもロマンチックですね ☆彡




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