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ECRRの福島リスク計算は妄想の産物 3/3

ECRRの福島リスク計算は妄想の産物  3/3

■独立していない数字で補正しているのは、ほどんど漫才。
 しかも、この補正、よく考えるとおかしなことが分かります。人口密度によるリスクと、コミュニティの分類によるリスク、肺がんのリスク、全癌のリスクは独立なんでしょうか?こんなの独立な訳はありません。

 昔聞いた漫才で、お父さんはよく働いている、というのがありました。『お父さんは1年365日よく働いている』『でも1/3は寝ているから、123日は働いてない』『分かった、お父さんは242日よく働いている』『でも土曜、日曜があるから、土日で102日休んでいる』『分かった、140日働いている』。この後、国民の祝日、風呂、食事、テレビを見る時間など引き算して行くと、1日も残らない。

 もちろん、これは土日などと、寝てる時間を二重に数えているから、こんな馬鹿げた引き算になっているわけです。独立していない補正で数字をいじっているのは、ほとんど漫才です。それで踊っているECRR、さらにそれに踊らされている人などは、踊る阿呆に見る阿呆の世界ではありませんか。


■120kBq/m2程度の汚染では、癌のリスクは他の環境因子の影響よりも小さくて問題にならない。
では、このトンデルの論文から分かる事は何か。それは、セシウム137の120kBq/m2くらいの汚染がおこったスウェーデンでは、癌や死亡率などは他の環境因子(例えば都会に住むことなど)の方が大きく、少なくとも10年くらいの観察では、問題にならない大きさだということです。小児甲状腺癌の増加がないことも、私の結論が妥当である事を示していると言って良い。実際、この論文の表7はこうなっています。
~~~画像 http://f.hatena.ne.jp/buvery/20110520094550

左側を拡大すると、それぞれの地域での甲状腺癌の比率がでています。例えば、40kBq/m2以上のところでは、十万人あたり1.84。
~~~画像 http://f.hatena.ne.jp/buvery/20110521104007

右側を拡大すると、その同じ地域の甲状腺癌が1.55に下がっています。
~~~画像 http://f.hatena.ne.jp/buvery/20110521104027

ロシア、ウクライナ、ベラルーシでは、小児甲状腺癌が10年でざっと100倍程に跳ね上がったことを思い起こすと、10倍程度でもあがれば簡単に分かった筈です。ところが、スウェーデンでは甲状腺癌は実数でほぼ同じか減っていることが分かります。*1しかも、9歳以下の小児甲状腺癌はゼロ。*2一番感度の良い、被害のよく分かる甲状腺癌ですら影響が出ていないのだから、他の癌で目に見えるような変化がないのは不思議ではありません。


■トンデルの論文と、LNTを使ってECRRは10年で10万人という福島リスク計算を出している
元に戻ってECRRは福島リスク計算をどうやって出したのか。

   1. 2µSv/hで100キロ圏が一様に汚染され、全部セシウム137だと仮定した。
   2. 空間線量のデータから逆算して表面汚染の崩壊数を計算した(空間線量と表面汚染の関係は以前に書きました)。
   3. 放射性物質は崩壊しても減衰しないと仮定した。
   4. 人は退避しないと仮定した。
   5. 表面汚染による外部被曝と癌の発症の増加比率は比例すると仮定した=ほぼLNT。*3。
   6. 癌の死亡は10万人あたり462人を使った。
   7. 100キロ範囲の人口338万人を使った。
   8. その係数にトンデルの論文の100kBq/m2で増加比率11%という値を使った。

以上です。これらのうち、どれが間違った仮定であるかは、ここまで読んできた人には分かると思いますが、一番の肝はトンデル論文です。これが上に述べたようにガタガタです。そもそも、トンデルのいう係数は補正をしないと2番目に高濃度に汚染されている60-89kBq/m2の地域、90-120kBq/m2に隣接した地域、にすら当てはめることができない。その計算をなぜ福島なら当てはめられるのか。従って、

ECRRの数字は妄想から繰り出したもの

であると言えます。


*1:減っているのも統計的には変化があるとは言えません。

*2:小児甲状腺癌の定義は15歳以下。

*3:ただし、ICRP99での放射線による癌の増加はトンデルの言っている増加比率ではない。被曝した集団の癌確率=p 被曝していない集団の癌確率=q、線量をD、定数である係数をβとすると、トンデルは、(p-q)/q=βDと仮定しているのに対して、ICRP99は、p-q=βDと仮定している


~~~転載おわり
2011-05-20 ECRRの福島リスク計算は妄想の産物
http://d.hatena.ne.jp/buvery/20110520





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