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毒と薬~栄養神話を暴く~ 5/7

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不飽和脂肪

1950年代以降、食品業界と政府によって、健康のためには、植物性の不飽和脂肪が答であるとされてきた。ではどうして逆に健康問題が増加したのだ?まず最初に、バターのような飽和脂肪よりも、不飽和の植物脂肪を活用することの金銭的な利益を調べてみよう。たとえばクッキーだ。バターは牛から作るが、牛を育てるには金がかかる。ヒマワリやトウモロコシの畑にすれば、もっと安くできるし、油を絞ることもできる。バターは、賞味期限も短い。だから、クッキーは、バターで作るのをやめたのだ。「植物性脂肪」という曖昧な食品表示を見ることが多いと思うが、これは最も安く入手できる不飽和脂肪を選んでますよという意味だ。

ということで、不飽和の植物性脂肪を利用する商業的な動機は確認できた。もしそれでも健康に良いならば、何の問題もない。だが、そうでないので問題なのだ。マーガリンというのは、本来、屠殺用の家畜を太らせるための二級のバターだったというのは、知ってましたか?マーガリンは、灰色がかった色をしていて、バターのように見せるためには着色する必要がある。実際、プラスチックとマーガリンは、分子一つの差しかない。強い力をもった食品産業が、金儲けのためにこんなものを売っているだけだ。彼らにとっては、あなたの健康はどうでもよいし、政府もあなたを守ってはくれない。

「単不飽和」と「多価不飽和」の植物脂肪の違いについて、いくらか誤解があるようだ。単不飽和脂肪の例としては、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油がある。多価不飽和脂肪の例としては、ヒマワリ油、トウモロコシ(コーン)油、大豆油がある。販売されている実に多くの食品に、多価不飽和脂肪が成分として入っていることに気付くだろう。その理由は、とても安いからだ。それに用途が豊富だ。食品産業だけでなく、化粧品や殺虫剤などいろいろな産業で利用されている。多価不飽和脂肪には、炎症を起こすオメガ6脂肪酸が含まれる。単不飽和脂肪には、非炎症性のオメガ3脂肪酸が含まれる。

オメガ脂肪酸が健康に良い影響があることについては、認識が広がりつつある。そこで食品業界は、狡猾にも、「オメガ脂肪入り」などという売り文句をラベルに書いている。オメガ3か6かを区別しないでおきたいのだ。「植物油」と曖昧にしておきたいのと同じである。われわれが摂取すべきオメガ3と6の比率は、1:4を超えてはならない。安い多価不飽和脂肪を使い過ぎる傾向があるため、実際のわれわれの食生活では、この比率が1:20とか、場合によっては1:50になっていることもある。

多にも問題が発生している。多くの植物油は、加熱して使うのには役立たない。事実上、全ての植物油の引火点は、飽和脂肪よりもずっと低く、植物性脂肪は冷温料理に向いている。だが、オメガ3を増やす方向でバランスを取るよう心がけるべきだ。オメガ6脂肪そのものが悪いわけではない。バランスの問題だ。健康に良いオメガ3の豊富な油は、オリーブ油、クルミ油、アマニ油である。健康に良いオメガ6の油は、ゴマ油と小麦胚種油である。

砂糖の他に、穀物にもオメガ6脂肪がたくさん含まれている。そのため、緑色葉野菜とスプラウト(芽。もやしなど。オメガ3)のサラダ(複雑な状態の炭水化物)は、パン(糖、オメガ6)とは比べ物にならないほど健康に良い。植物油で揚げた(炒めた、焼いた)ものは、油の燃焼により発癌性物質を生じる。熱しても大丈夫なのは、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油である。この中で一番健康によいのは、オリーブ油である(他の二つはオメガ6を含むため)。飽和脂肪は、全て加熱調理してOKだ。

ただし、180℃以下が望ましい。調理するときは、弱火か中火がよい。弱い火でゆっくりがベストだ。最も熱に強い脂肪でも、180℃を超えると燃えてしまう。このため、分子レベルで超高速で食べ物を加熱する電子レンジは論外だ。顕微鏡で見ると、電子レンジで調理した食べ物は、裂けて壊れている。破裂している細胞もある。これは第二次世界大戦の頃から分かっていたことだ。それを今、私が言わなければならないのは、残念な話だ。

〔訳註〕スーパーで大々的に販売されているカノーラ油(キャノーラ)について言及がないので補足しておく。カノーラは「健康に良い菜種油」とされているが、これは遺伝子組み換えの菜種の油である。


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