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毒と薬~栄養神話を暴く~ 6/7

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トランス脂肪

飽和脂肪と不飽和脂肪のミッシング・リンクが、トランス脂肪だ。トランス脂肪は、不飽和脂肪を加熱し、水分を蒸発させ、脂肪を凝固させたものである。その上で、脂肪に水素分子が加えてある。この水素添加プロセスで、脂肪の化学構造が変化する。もとは不飽和脂肪だったものが、飽和脂肪になる。こうした脂肪は人工のもので、自然には存在しない。では何が利点なのだろう?さっきのクッキーだ。植物油は安いのでバターの代わりに使用されるようになった。だが、植物油は、液状であり、バターが当たり前のように持っている半固形の構造ではない。植物油に水素添加することで、バターと同じように利用することができる。保存という意味でも長持ちする。バターは自然の飽和脂肪で、トランス脂肪は不自然な飽和脂肪である。それが何だ?消費者には違いが分かるわけがない、そうだろう?

そう?いつものことながら、消費者は、トランス脂肪の危険性に気付き始めている。ニューヨーク市が初めてトランス脂肪を完全禁止したが、他の都市も間もなく追随するだろう。欧州ではデンマークが一番進んでいて、トランス脂肪を2%以下に制限している。トランス脂肪は、糖類とともに、糖尿病、高血圧、コレステロール疾患、心臓血管の病気、癌、リウマチ性関節炎、カンジタ症、アレルギー、ADHD(注意欠陥多動障害)、うつ病、慢性疲労など、第二次世界大戦以降に出現し、急増した多くの病気の主因になっている。トランス脂肪は、身体にとって異物であり、細胞(DNA)を損傷させる能力を持つ危険なフリーラジカル(遊離基)である。砂糖や人工甘味料と同様に、そのダメージは蓄積していく。トランス脂肪を長く食べ続けるほど、ダメージも大きくなる。

食品の買い物をするときに、どうやってトランス脂肪酸を見つければよいだろうか?ラベルを見るのだ。水素化(部分水素化)油脂を探せばよい。今日の食品にどれだけトランス脂肪が含まれているか、知ると驚きだろう。

〔訳註〕日本では今まさにトランス脂肪酸の表示義務付けを消費者庁で検討しているようだ。


大豆の神話

最後に大豆の神話を解き明かさなければならない。これも健康食品を好む人が信じていることが多い神話だ。よく根拠にするのが、アジアでは何千年も大豆を食べてきたという言い分である。これは半分事実だ。遥か昔の明王朝の時代から大豆が食べられてきたのは事実だが、それは発酵した大豆だけである。豆腐、豆乳、大豆レシチン、大豆油のような生の大豆食品は、二、三百年の歴史しかない。ここでもまた、発酵した大豆を食べる健康的な伝統の話を強調しながら、未発酵の大豆と混同させ、われわれの眼をごまかそうとする、強烈な業界の宣伝がある。健康食品の店でさえ、健康食品として売っている。

大豆のどこが悪いのか?フィチン酸が豊富である。この酸は、酵母パンにもあるが、サワードウのパンにはない。サワードウは、発酵したパンで、発酵した大豆と同様、乳酸菌を含んでいる。乳酸菌は、澱粉の糖分を食べるが、フィチン酸も食べる。フィチン酸は、そのまま放置すると、ミネラルを妨害する。鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムといった重要なミネラルの吸収を阻害するのだ。いわゆる乳糖(牛乳)アレルギーの赤ちゃんに豆乳を飲ませるのは、まったくの破滅的行為だ。子供も大人も、発酵していない大豆を食べないように賢く行動しよう。

発酵した大豆食品としては、しょうゆ(ただし、砂糖、MSG=味の素、保存料、着色料など有害な成分に注意)、みそ、テンペがある。特に日本料理には、発酵大豆がとても合う。豆腐や大豆関連食品に頼っている菜食主義者には、悪い知らせだった。利益を上げる業界の宣伝の犠牲者になったのだ。

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)

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