ミアシャイマーのオフショアバランシング:まとめ
- カテゴリ:勉強
- 2011/09/20 16:48:02
ミアシャイマーのオフショアバランシング:まとめ
今日の甲州はよく晴れましたが、まだ夏みたいですね。朝晩も思ったほど気温が下がっていないような。
さて、来週というか今週末の日曜日(25日)に開催される私の講演会に向けて準備を進めておりまして、そのメモ代わりにここに少し書き込んでおきます。
まずはミアシャイマーの「オフショア・バランシング」について。
実 はミアシャイマーは、「オフショア・バランシング」という大戦略の名前を主著『大国政治の悲劇』では使用しておりません。ではなんといっているかという と、「オフショア・バランサー」という国がある、と言っているわけです。それはもちろん(冷戦時代の)アメリカと(19世紀の)イギリスのこと。
そしてこの両国がとっていた対ユーラシア(イギリスの場合は対ヨーロッパ大陸)戦略をミアシャイマー自身は後に「オフショア・バランシング」であるとして、先日ここで紹介した論文の中でまとめたわけです(ただし最初にリアリストの中で使いはじめたのはおそらくポーゼン http://books.google.com/books?id=YQhu4AMYKtwC&printsec=frontcover&source=gbs_ge_summary_r&cad=0#v=onepage&q&f=false )。
それでは簡単に、ミアシャイマーのオフショア・バランシングという概念の「前提」を以下に簡単にまとめておきます。
●国家は本来「利己的」な存在である。
●アメリカは現在まちがった戦略を追求している。
●アメリカのように地域覇権をすでに達成している国にとっては、他の地域の覇権を出さないようにすればいいだけ。
●基本的にシーパワー国家だけがオフショア・バランシングを実行可能。
●オフショア・バランシングとは、ようするに他の地域の国の友好国(バック・キャッチャー)にたいしてアメリカが(バック・パッサー)が「バックパッシング」(責任転嫁)をすることだ。
●バック・パッシングの狙いは、地元の友好国に侵略的な国家をぶつけて、自分たちだけはその侵略的な国家と直接対決を避ける、という点にある。
●ミアシャイマーをはじめと主なリアリストたち( http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=307) がオフショア・バランシングという大戦略の適用を想定しているのは、主に「中東」地域である。
●バックパッシングのやり方は四つある。
①バック・パッサーは、脅威を及ぼす国と良い関係を結んでおく
②バック・キャッチャーとの関係を多少疎遠にしておく
③バック・パッサー側が防衛費を拡大する
④バック・キャッチャーを支援する
●ミアシャイマーは東アジアで二つのシナリオを想定している(二〇〇一年)
1、中国が脅威にならず、アメリカは撤退しする→結果として、地域は不安定化
2,中国が脅威になり、アメリカは駐留を続ける
●地域国家が戦争すれば、中立国であるオフショア・バランサーは経済的に大儲けする(例:第一次大戦時のアメリカ)
●アメリカはユーラシア大陸内の大国間戦争に巻き込まれてはいけない
●戦争は始めに当事者なるのはアホ。最後になってから介入して漁夫の利を得るのが吉。
さらに詳しい話は講演会で。
そういえばこういう話( http://sun.ap.teacup.com/souun/5303.html )もネットで発見しました。参考まで。
以上。
~~~転載おわり
http://geopoli.exblog.jp/16306180/