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偽情報退散!

【書評】  『偽情報退散! マスコミとお金は人の幸せをこうして食べている』 THINKER著

http://tamekiyo.com/documents/original/20110619.html


人間社会を支配するテクニックの基本は、Divide and Conquer (分断)にある。このテクニックが見事に成果をあげる土台を提供しているのが、自己防衛という人間の習性である。その「自己」とは、自ら狭く区切って限定 した自己のことである。例えば、自分の主義主張や知識のことを「自己」だと思って防衛する。「専門知識」を持つことで、自分の縄張りを築き、そこに安住す る。その範囲を超えたところに、あえて冒険してみようとは思わない。産業の高度化で分業が進み、職業が専門化することで、この傾向はますます顕著になって いる。人々はそれぞれ分断された区画(コンパートメント)の中で生きている。

先日、税務署に行き、ある質問をしたのだが、3人ほど担当者をたらい回しにされ、最初の人から渡された用紙は別の用途だということもわかった。それ ほど特殊な手続きのことを質問したわけではない。このように自分の職務範囲にしか興味のない人間(特定のタスクが割り振られた専用ロボット)が多いよう だ。外部の人間からしてみれば、税務署に勤めている人ならば、税金のことを一通り知っていると思うだろう。ぜんぜんそうではない。彼らが詳しいのは自分の 担当分野だけであり、税金全般ならば私の方が詳しいかもしれないと思ったぐらいだ。同じことが医者にも他の職業にも言えるだろう。

こうして分断された人間が相互に理解することが難しいのは容易に想像ができるだろう。そして、分断された人間が、互いに自己防衛すれば、戦いにな る。例えば、政治の討論といっても、互いの主張を繰り返すことに終始するだけで、共通認識を得るために議論しているわけではない。だから数の論理で決まっ てしまう。もっと正確に言えば、過半数を騙すことができる者が政治権力を握る。

人類を支配している存在は、こうした人間の弱点を知り尽くして利用している。人類がそれに対抗するためには、心(思考)をオープンにし、崇高なワン ネスの関係へとつながる感性(直感)を磨かなければならない。この本の著者のTHINKERの鶴田さんは、そのようなオープン・マインドを持った人である と私は思っている。

表題にある通り、マネーとマスコミが中心テーマとなっているが、戦争など国際政治の問題から、日常的な食品・医療の問題まで多岐にわたるテーマが含 まれている。大麻や味の素(MSG、アスパルテーム)のことにも詳しく触れてある。それぞれの問題は、これまでも多くの人が取り上げてきただろう。だが、 あらゆる問題を「全てはひとつ」として統合・認識して書かれた本は、それほど存在しないのではないかと思う。

例えば、日本はアメリカへの依存を断ち切り、国防を増強して真の独立を果たすべきだと主張する人に、私は問いたい。そうして軍需産業を儲けさせなが ら(これも経済成長ではあるが)、増強された軍事力を誰が指揮するのだ? その軍事力を指揮する政府とは、グローバル企業の圧力と懐柔に屈し、国民の健康 を害する食品・医薬品すら取り締まることのできない政府ではないのか? そんな政府に武器を与えてどうしたいのだ?

分断された思考しかできないものは、この程度の単純な問題にも気付くことができない。いくら知識豊富でも、いや、知識が豊富であるほど、そうした単純な事実に気付かないものだ。

鶴田さんの経歴を見ると、米国の公立高校卒業、日本の高専中退ということなので、学歴としては高いとはいえない。だが、オープンなマインドを持って いれば、こうして迅速に真実に迫ることができるのである。私が現在の世界では最先端の思想家の一人だと思っているデーヴィッド・アイクも、若くしてプロの サッカー選手になっており、学校の勉強はほとんどしていない。日本の学歴的には中卒相当だろう。そうしてみると、いかに学校教育のシステムというものが無 意味か、もっといえば有害かということが分かるのではなかろうか。人間を無能化するのが学校システムであり、そこから逸脱した人々から、本当に考える人が 登場しているのが、今の時代だろう。学校で良い成績を残し、一流大学を出て、自分の知能と知識を自慢している人には、これからの時代、ますます何がなんだ かわからなくなるだろう。本当に楽しい時代になる。

空想や趣味ではなく、現実の日常の生活として実感できる陰謀の話、食生活の改善など行動に結びつく陰謀の知識を得るための一冊としてお勧めしておきたいと思う。





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