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漢方薬では大麻草のすべてが薬になる

漢方薬では大麻草のすべてが薬になる

漢方薬として大麻草をみると、種子は「麻子仁(ましにん)又は火麻仁(かまにん)」、根は「麻根(まこん)」、茎皮部の繊維は「麻皮(まひ)」、葉は「麻 葉(まよう)」、雄株の花穂は「麻花」、雌株の花穂は麻蕡(まふん)と各々の呼び名があり、いずれも薬用となっています。大麻草は捨てるところがなく、全 草が薬なのです。

漢方薬で最も多用されているのは、大麻草の種子(麻の実)です。中国では火麻仁を正式名称としていますが、日本では【傷寒論】が広く浸透しており、それに 麻子仁の記載があるため、「麻子仁」が通称名となっています。麻子仁の「仁」は、種子から種皮を除いた中身(胚乳部分)を示しています。麻子仁は、麻の実 の堅い殻を取り除いたもので、食用の麻の実ナッツと呼ばれているものと同じです。

麻子仁は、整腸作用のある便秘薬であり、老人、子供、妊産婦など体力の消耗した人や大病後の人の便秘に用いられます。日本において麻子仁を配合した医療用 漢方製剤は、麻子仁丸、潤腸湯(じゅんちょうとう)及び炙甘草湯(しゃかんぞうとう)の3種類があり、ツムラやウチダ和漢薬などから医薬品として販売され ています。

麻花は【名医別録】に用いられた語です。大麻草の雄株の花枝をいいます。別名として鳥麻花【千金方】があります。薬効は、リウマチ、健忘症、悪性のオデキなどによいとされています。

麻蕡(まふん)は、【神農本草経】に基づくもので,異名として麻藍.青羊.青葛【呉普本草】など多くの名があります。大麻の若い果穂,雌花と考えられてい ます。【金置要略】【傷寒論】にはこの麻?の名称は見られず、【名医別録】には麻子は無毒、麻蕡は有毒と書かれてあります。内服の場合は、1~2分(約 0.4~0.8g)を煎じて服用するとあります。薬効は、鎮痛、鎮痙、痛風(リウマチ)、関節痛、筋肉痛、てんかん、不眠症、喘息に効くとあります。麻寳 は、薬理成分THC及びCBDを多く含むところであり、現在の医科学的事実から見ても見事な適用疾患の一致が見られます。

麻葉は、【薬性論】に用いられた語です。別名を火麻頭と呼び【療科必要】火麻仁に対応しており、いわゆる大麻草の葉のことです。薬効は、マラリア、喘息、回虫駆除、鎮痛、麻酔、利尿となっています。

麻皮は【本草綱目】にあり大麻の茎皮部の繊維をさす。薬効は、打撲傷,破傷風の治療に用いるとなっています。

麻根は【神農本草経集注】にある語句で大麻草の根茎です。【薬性論】には麻青根という異名があります。この名は実際の麻の根を見ると納得できます。止血の効能が知られ,淋病,血崩,帯下,難産,打撲傷(打身)を治す。

西洋医学は、これらの大麻草の薬効を少しずつ証明している段階といえそうです。⊿9-THCという化合物の構造がわかっていなくても、内因性カンナビノイ ドの存在がわかっていなくても、臨床実践による漢方薬の知の体系は侮れません。大麻の医療効果に関しては、神農さんから数えると約2000年前から言われ ていることの後追いに過ぎないのかもしれません。今後もこれらの漢方薬の知恵が大いに活用されていくことでしょう。


参考文献:山本郁男、大麻文化化学考(その4)漢方薬としての大麻.北陸大学紀要17、p1-12(1993)


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