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…核弾頭を保有するイスラエルは…脅威


...memo
世界有数の核弾頭を保有するイスラエルは世界の平和にとって脅威だとドイツの作家、ギュンター・グラスが声を上げた。『ブリキの太鼓』などを書き、ノーベル文学賞を受賞した作家の発言だけに、注目を浴びている。

 イスラエルが世界有数の核兵器保有国だということは間違いなく、核兵器を使おうとしたこともあると言われている。実際に何発の核弾頭をイスラエルが持っているのかは不明だが、1977年から約8年の間、イスラエルの核兵器開発に携わったモルデカイ・バヌヌによると200発以上、イスラエルのイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると1981年の時点で300発以上、そしてジミー・カーター元米大統領は150発だと推測している。約1万発を保有するアメリカやロシアは別として、イギリス、フランス、あるいは中国と同じ程度は持っている可能性が高いわけだ。

 イスラエル政府が核兵器の使用を決断したのは1973年、第4次中東戦争のとき。ゴルダ・メイア首相の執務室で開かれた会議で核ミサイルを発射する準備をするということで合意したのだ。

 この決定をソ連の情報機関がつかみ、アメリカ政府へもこの事実を通告、ソ連のアレクセイ・コスイギン首相はエジプトへ飛んで停戦するように説得している。このとき、アメリカ政府は軍事物資をイスラエルへ提供、そのかわり停戦するように交渉したという。

 ところがイスラエルは停戦の約束を守らずに攻撃を続行、そこでソ連政府はアメリカ政府に対し、イスラエルが約束を守らないならば適切な対応策を講じると警告した。こうした動きを受けてアメリカ政府も真剣にイスラエルを説得したようで、核攻撃は何とか回避された。

 イスラエルはイランを絶滅させかねない・・・ギュンター・グラスはそう懸念しているが、イスラエルの過去を考えると当然だろう。

 これまでイスラエルの核兵器について沈黙してきた理由として、第2次世界大戦の際にナチスが行った弾圧でユダヤ人もターゲットになっていた事実、そして「反ユダヤ主義」というレッテルを貼られることの恐怖をグラスは挙げている。

 どうやら、グラスもナチスに弾圧された「ユダヤ人」とイスラエルを建国した「シオニスト」を混同しているようだ。ナチス時代、ドイツを逃れたユダヤ人が向かった主な行く先はイギリスやアメリカであり、この事実を考えるだけでもユダヤ人とシオニストは別だということが理解できるだろう。

 一般に、近代シオニズムはセオドール・ヘルツルが1896年に始めたとされているのだが、その5年前、ウィリアム・ブラックストーンなる人物が「ユダヤ人」をパレスチナへ移住させようという運動をアメリカで展開、ベンジャミン・ハリソン米大統領に働きかけている。

 イギリスのエリートがユダヤ教徒のパレスチナ移住を考え始めたのは、さらに半世紀前のこと。1838年にイギリスはエルサレムに領事館を建設、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査、1840年にはタイムズ紙はイギリス政府がユダヤ人の復興を考えていると報じた。

 後にアルフレッド・ミルナーがタイムズ紙を支配するようになるが、パレスチナに「ユダヤ人の国」を作らせると約束する「バルフォア宣言」、つまりアーサー・バルフォア外相からロスチャイルド卿に宛てた書簡を実際に書いたのはこのミルナー。

 パレスチナに「ユダヤ人国家」を作るというシオニストの計画を実現するためには、ユダヤ人を居住地から追い出す必要があり、そうした意味でナチスのユダヤ人弾圧は願ってもない政策だった。ここにも歴史のタブーがある。

 イスラエルを「建国」した土地には人が住んでいた。そうした人びとを追い出すため、シオニストは虐殺事件を起こしている。実際に殺して住民を「消し去る」こともあるが、恐怖で住民が逃げ出すことも期待していた。そうして追い出されて難民化した人々はパレスチナ人と呼ばれ、今ではその一部がガザやヨルダン川西岸に押し込められている。

 そのガザへ2008年12月から09年1月にかけてイスラエル軍は軍事侵攻、国連の施設を含む建造物を破壊し、1200人とも1400人とも言われるガザ住民を虐殺している。国連が設置した事実調査団もイスラエルが戦争犯罪を犯したことを認めているのだが、ICC(国際刑事裁判所)のルイス・モレノオカンポ検察官はイスラエルの戦争犯罪を問題にする意志のないことを表明した。

 パレスチナは国でないからイスラエルの戦争犯罪は問えないという「理屈」なのだが、NATO軍が先制攻撃したユーゴスラビアの場合、ICTY(旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷)を設置している。要するに、イスラエルの破壊と殺戮を現在の国連は容認しているわけだ。こうした現実にギュンター・グラスは異を唱えたのである。

2012/04/04
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201204040002/
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