Nicotto Town



命のない食べもの…私たちの命を狂わせて…3/3


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ーーー:若杉さんのこの感性って、どうやって培われたものなんでしょうか。

●若杉: 若いときは貧乏が当たり前で、だんだん豊かになってきたときに、肉体と精神もそれに伴って変わっていく体験をしてる。その辺に炒り豆が落ちてるの を拾って食べる生活だったのが、そのうちここでもごちそう、どこでもごちそう。このままでは自分がとんでもない方向、欲の強い悪魔的な考え方に変身してい きそうで、ブレーキをかけなきゃと思った。それで、まずは近所の川の掃除を1年間続けた。川が汚れて悲しくて私の魂が泣いてたからね。1人でダンプに何杯 分もゴミを拾った。次の1年間は、老人ホームのシーツ替えとお掃除にボランティアで通った。おばあちゃんと おじいちゃん達に声をかけて歩き、手を握ったり髪なでたり話しかけると涙流してよろこぶの。そこで色んな人間模様、人生の縮図を見せてもらった。次は5年 半、お年寄りの家に週2回お弁当を配って歩いた。マクロビオティックの桜沢如一先生の本に出会ったのはその頃。桜沢先生が、「どうやってこんなすごいこと を研究したのか」と外国で問われたときに、「僕は研究してない。日本の祖先がつくった食文化を再発見して、世界の人に知らせてるんだよ」って答えてる。陰 性な野菜を、塩や火を使って陽性化して食べる食養の知恵や、促成ではない昔ながらの醸造でつくった調味料の大事さを私も伝えたくて、静岡にお店をもって大 繁盛してたの。でもあっさりと店を たたみ、こうして山に入ったのが8年前。ここの暮らしは最高よ。水は天からのもらい水でタダ。冷蔵庫なんて要らない、土間の竈や七輪で料理して、薪で五右 衛門風呂。米も野菜も梅干しもみんな手作り。冷え込む冬も、火鉢や豆炭のコタツで、窓を開けっ放しで外の雪を見るの。春夏秋冬、天地の青春を楽しんで生き てるって感じよ。明日死んでも悔いない。すべてこの私が選んできた行動なのよ。
 思いがあれば、誰でも成就できるのよ。思いは岩をも貫いちゃう位だから、必ず成就できるの。あんたがまだ成就できてないということは、自分の魂磨き、修 行が足らんということ。人生は苦労しないとな。山あり谷あり、陰アリ陽あり、一つひとつクリアしながら、自分を鍛えておかないと。何かの時に弱くなっちゃ うから。すぐにあきらめたり。昔の女は大和撫子といって、掴んだら死んでも離さない強さがあったものよ。


「そぎ落として楽になる」
 人生は心地よく、機嫌良く、生きてるのが一番。だって楽しい所なんだものここは。地球というのは実に楽しいところ。とどのつまりは、機嫌よう生きて通れ ば一番いいわけで。あれこれ色々やることない。ただこの時代、あまりにも物事が曇っちゃって、魂が曇りすぎて、闇のように色んなことが皆わからなくなって いるものだから、私は料理を通してお話ししてるだけ。料理の先生といわれても困るのよ。料理は私の人生のパフォーマンス。それでお金を稼ごうとは思わな い。これは小さじ何杯とかカップ何杯とかじゃなくて、全部直感なのよ。その日の疲れ具合で、塩加減だって 違ってくるんだから。「この草は食べるとどこに効くんですか?」、そんなのアホか。机の上でお勉強して何になるの。「教育」はいらないのよ。昔の子は教わ らなくても親の後ろ姿で育った。自分が汗と水を流して体験して、余計なもの捨てて取り外していくことが悟りなのよ。みんな自分に色んなものをくっつけよう としすぎ。本物をやっていったらいいのよ。真実真理だけを。そぎ落としたぶん、楽になるから。
 とらわれなくていい。信仰したり、こだわらなくても。こう生きねばとか、こうあらねばならぬとか、そんなものはない。自分が歩きたい創造の世界を歩いてゆけばよいだけのこと。私が孫たちに手渡したいのはその切符なの。
 世の中は色んな幻想を創り出して、働かなくては生きていけないという恐怖心を植え付けられてる。ちっとくらいお金が仕事がなくて困ったなと思ったら、 ホームレス1年間くらい体験したらどう?。やるなら楽しくやればいいの。引け目を感じる乞食なんかじゃなくて、堂々と。そうしたって充分生きていけるの よ。たとえ世の中がひっくり返ろうが。最低限の塩と米に野草食べて。良寛さんだって寺も持ってなかったんだから。お釈迦様だってそこらの道ばたで説いてた の。私も辻説法して歩きたいくらいよ。宗教にお金がかかるなんておかしい。それならこの大宇宙に金払いなさいよ。お天道様が金くれっていう? 何も請求し ないやろ。金もらうのは人間だけやないか。人間が作った電気にはお金払うけど、太陽の光から作ったものには払わない。このおいしい水と空気。本当のものは タダなのよ。


「人の魂を喜ばせる人になれ」
 みんな欲で生きてるから戦争が起きる時代なの。食べる欲、着る欲、住むにも飾り立てて、何か余計にないと不安がって。これから生きていこう思ったら、一 つ一つ捨てていくのよ。友だちもつまらんやつは自分から切って。自分がどん底に落ちたときにすくいあげてくれる人が本当の親友なのよ。夫婦だって、うちの めされたときに真意が分かる。魂をきれいにしておきなさい。人の魂を喜ばせてあげる人にならなあかん。人とべたべたするんじゃなく、遠くからでもつながり を大事に、かわいがられる人に。それが財産や。人生は会うが別れのはじめ。一瞬の、二度とこないこの時間。それか命だとかわったら、あらゆるこの世の万物 が大事に思える。部分部分じゃなくて、渾然一体万物が。神さまは私たちに悦びしか与えてないのよ。それがわかる? まずは誕生という最大の悦び。生きてれ ば祝いごとが沢山。七五三、成人、結婚の祝い、収穫祭、新嘗祭、種を蒔くお祭り‥。そういう悦びにわくのがこの地球人類の営みなのよ。いまはその祝いごと を忘れた時代。野草だって春になれば天の恵みで、人間が一滴の水も肥料も施さなくてもちゃんと出てくるじゃない。それも悦びでしょ。ありがたい悦びとして 感謝しぬいて、死んだら自然に帰る。土と溶け合って。


ーーー:ありがとうございました。 ●


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お米の命を殺す鍋・生かす鍋」

 若杉さんに会って土鍋でお米を炊くようになった。一生懸命玄米食をしてる人で も、心から元気でない人が多いのはどうしてかなと思っていたけど、圧力鍋にも原因があると若杉さんは言う。「圧力鍋の、千度以上の高温は玄米にはすごいダ メージ。 市販のお米は、コンバインの高温で弱る上に、乾燥機の高熱が追い打ち。さらに圧力鍋の超高熱で、種としての生命力を失くしてしまう。それに昔、アルミの弁 当箱に梅干しやお酢や柑橘類を入れると腐食して穴があいた。それがお米に入って脳や腎臓に貯まる」。食べ続けるとどうなるか‥。縄文時代から使われている 土鍋で炊いた天日干しの玄米は、茶色く酸化してないし、甘くて味の深さが違う。私は数日水につけて、発芽しかけのを炊いてるけど、きつね色のおこげもいい し、水加減も適当で結構簡単に炊けるものだ。(ますみ)


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No.129=2005年3・4月号

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