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ワクチンと自閉症の切っても切れない関係 1/3


...memo

ワクチンと <自閉症> の 切っても切れない関係

03/06/20
www.kcn.ne.jp/~gauss/env/tb3.html

月刊 『生活と環境』 03年6月号
別処珠樹

アメリカでは,300人の子どものうち1人が「自閉症」で,患者は1年ごとに10%以上も増え続けているという。その原因の一つは,乳児のときに接種したワクチンである可能性がたいへん高くなってきた。

生ワクチン以外の予防接種ワクチンは,多くが防腐剤としてチメロサールという有機水銀をふくんでいる。この水銀が脳に影響しているらしい。二つのつながりを明らかにした決定版ともいえる研究が,この春,アメリカの専門誌に出た。それとともに,議会と大統領に法的な措置をもとめる勧告を議会小委員会が出した(1)。

ワクチンと「自閉症」のつながりをしめす研究はすでに2000年に出ていて,それを紹介する記事を私も書いたことがある。その後もアメリカでは激しい論戦が続いてきた。

ところが01年にアメリカ科学アカデミーの医学研究所(IOM)が,今までのところ結論を出すには至らないとする報告を出したため,日本では厚生労働省の指導でメーカーが濃度を10分の1に下げただけにとどまった。

アメリカでは患者から,ワクチン製造会社を相手どって損害賠償を求める集団訴訟が起こされているが,まだ結論は出ていない。

今度の論文は,『アメリカ内科・外科医雑誌』の春季号に載ったもので,含まれる水銀の量と「自閉症」のあいだに強い結びつきがあることを示している(2)。

▼「自閉症」の症状

論文の中味を吟味する前に,「自閉症」とはどういうものかを簡単に見ておきたい。

医師の思い入れなしに正しい判断ができるよう,WHO(世界保健機関)や各国の政府が診断基準を決めている。「自閉症」に共通してみられる症状として,�社会関係の障害(人との相互作用がとぼしい)�コミュニケーションの障害(言葉が遅れたり,使い方がおかしい)�反復行動(同じ行動の繰りかえしを好む)の三つが上がっている。多くは1〜2歳の幼児期に症状が出はじめる。

それと分かる変化が脳に生じている場合もあれば,言葉の遅れや運動能力の障害がなく風変わりな個性にみえる場合など,いくつもの類型にわかれる。「学習障害」に近いものを入れる場合もあり,分類について意見がわかれるため,すべてを一まとめにして「自閉症圏障害」(ASD)ともいう。

青春期の「引きこもり」を「自閉症」だと誤解する人がいるが,まったく違うものであることがわかる。この名前は症状をいい当てているといえないので,ここではカッコつきで「自閉症」と書き表すことにする。

▼水銀量が増えると危険性が増大

03年3月に出た論文は,アメリカ遺伝学センターのマーク・ガイアー所長らが書いたものだ。ガイアー博士らは,はじめにあげたIOMのデータを使って,子どもたちが体内に取り入れる水銀量を計算した。ワクチン接種でどれだけ影響があったかは,IMOと独立の「ワクチン副作用報告システム」(VAERS)というデータベースに収められたものを使った。児童の中で「自閉症」,言葉の遅れなどの障害をもつ者がどれだけあるかについては,これもIMOとは独立した米教育省のデータを使っている。

結果はどうだったか。図1を見てみよう。横軸はふくまれていた水銀量,縦軸は水銀とり込み量がゼロの場合とくらべた相対リスクを表す。水銀の量が増えるにしたがって,「自閉症」のリスクが高くなることがわかる。しかも曲線が指数関数のカーブを見せている。取り込み量が多くなるほど「自閉症」のリスクは指数関数的に増大する。このようなはっきりとした関係は,これまでの研究に見られなかったものだ。

しかもこの関係は「自閉症」に限らない。言葉の遅れ,一部の心臓障害についてもおなじような関係が報告されている。言葉の遅れや心臓など循環器系にも水銀が影響を与えている可能性が強い。これらの障害が,新しく今後の研究課題として登場したといえる。

論文には,図1とは別の種類のワクチンを調べた図も掲載されていて,それもほとんど同じカーブを見せている。「自閉症」とは直接の関係がない発熱・嘔吐・痛み等の症状と水銀量の関係も調べているが,「自閉症」のような明らかな関係は見られない。

▼基準を上回る水銀

ワクチンの中で雑菌が増えるのを防ぐため入れられている防腐剤チメロサールは,物質名をエチル水銀チオサリチル酸ナトリウムといい,日本の「毒物及び劇物取締法」では「毒物」にあたる。厚生労働省によると,医薬用途には毒劇法の規制がかからない。

アメリカと同程度の1ミリリットルあたり100μg(以下μg/mlと表す)を日本ではワクチンに添加して来た。01年に厚生労働省が業界を指導したため,現在は濃度がこれまでの10分の1に下げられ,10μg/mlになっているものが多い。しかし過去の製品がそのまま残っている可能性も否定できない。

チメロサールは重さのほぼ半分が水銀で,残りが有機物でできている。したがって新しい製品が使われたとすると,水銀だけの濃度は5μg/mlになる。1回の接種量は約0.5ml(乳児の場合は,この半量)なので,1回の接種で体内に入る水銀の量は,2.5(乳児では1.25)μgだ。

この量をどう判断したらいいだろう。

日本にはエチル水銀そのものの基準値は存在しないので,食品の暫定基準値を見ると,総水銀0.4ppmとなっていて,換算すると0.4μg/mlである。ワクチンに含まれる水銀の濃度5μg/mlはこの12.5倍となる。10分の1になったといっても,まだこれだけの濃度が含まれているわけだ。

チメロサールは体内で分解し,有機水銀の一種であるエチル水銀に変わる。水俣病の原因となったメチル水銀と似た毒性をもつというが,研究は十分といえない。

チメロサールをワクチンの防腐剤として使いはじめたのは1930年代だった。そして43年に,アメリカの精神科学者レオ・カナーが幼児「自閉症」の症例を世界ではじめて報告した。翌44年にオーストリアの医師ハンス・アスペルガーがカナーよりも軽い症例を報告し,いまではその症状を「アスペルガー症候群」とよんでいる。

いまのところチメロサールに対する規制が日本やアメリカにはない。チメロサールをふくむのは,菌が生きていない不活性化ワクチンおよびトキソイドという種類で,ジフテリア・破傷風・百日咳の「三種混合ワクチン」のほか,インフルエンザHA・日本脳炎・B型肝炎の各ワクチンがこれにあたっている。チメロサールの含有量については,「細菌製剤協会」のホームページで調べられるようになっているから,関心のある方は,ここで調べていただきたい。



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