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ワクチンと自閉症の切っても切れない関係 2/3


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▼チメロサールをめぐる動き

アメリカで水銀含有ワクチンの回収をもとめる「自閉症児」の市民団体「セーフ・マインズ」などが,過去の情報や経過をまとめて公開している(3)。

古く82年の記事。日本の厚生労働省にあたるFDA(連邦食品医薬品局)の専門家会議がチメロサールの毒性に気づいた。市販の医薬品からチメロサールを除去するよう勧告を出した。しかし大きな問題とならず,そのままになってしまったという。

84年5月の東京地裁の判決に,ワクチンによる神経系障害にはチメロサールなどの添加物その他の物質も関係しているとの記述があり,日本でも当時チメロサールの神経毒性が問題になっていたことがわかる。

00年4月,アメリカの研究者サリー・バーナード,アルバート・イナヤティらが詳細な研究をもとに,チメロサールの水銀が「自閉症」の主な原因であると発表した(4)。

「自閉症」の中でも,脳に特別の変化が認められず,原因のわからない症状が,水銀中毒の症状と非常によく似ていることを明らかにした。その要点は次の通り。

「①原因不明の自閉症は,多くの,というよりたいていの症例で,正常な発達の期間をかなり経たあと急に兆候が出るが,これは発達初期の水銀曝露によって起きる。

②この型の自閉症は,水銀中毒の特殊なケースをあらわす。

③ワクチン接種でチメロサールから水銀を過剰にとりこむことが,自閉症の諸特徴を生じる原因である。

④チメロサールの悪影響が一部の子どもにしかあらわれないのは,遺伝による素質やその他の素質が関係しているからである。

⑤チメロサールの水銀は,従来知られていなかった水銀症候群を引き起こしている」。

01 年3月,赤ちゃんのときにうけたB型肝炎などのワクチンが障害の要因になったとして「自閉症」の人たちが製薬会社を訴えた。アメリカ・テキサス州オースチ ンにある地方裁判所がこの集団訴訟をうけつけ,審理が始まった。原告側は10を超える製薬会社に損害賠償を求めた。その後,アメリカ各地で同様の訴訟が起 こされ,審理中である。

▼下院小委員会で調査

この問題に対して議会や政府はどう対応してきたか。00年7月,アメリカ下 院の議会改革委員会で「自閉症」と水銀の結びつきについて公聴会が開かれた。委員会のダン・バートン委員長自身が「自閉症」の孫をもつため,問題の解決に 強い熱意をもち,これが公聴会の実現につながったようだ。証言から一部を抜粋しよう(5)。

「解毒の過程を調べたところ,発達に遅れのあ る子どもでは,解毒のはたらきが恐ろしく不十分であることがわかりました。……有機のエチル水銀が脳に入ると,無機水銀に変わります。こうなると血液脳関 門から元にもどることはできません。……キレート剤を使うと発達障害をもつほとんどの子どもの尿から高い濃度の水銀が出ます。血液検査で判明するよりずっ と多くの子どもから鉛が出るのも興味深い事実で,脳内で鉛がエチル水銀の毒性を増強しています」(ステファニー・ケーブ医師)

公聴会のあとで「セーフ・マインズ」が結成され,FDAに対して請願を出したが,1か月後に拒否されたという。

翌01年4月,同委員会で2度目の証言が行なわれた。新しい証言をひろってみよう(6)。

「40 万人以上の子どものデータベースを使った調査で,チメロサールをふくんだワクチンを何度か接種した2か月児では,全般的な発達の遅れと統計的に有意な関連 が見られたという発表があります。3か月児ではチック症状,6か月児では注意力不足の障害,ことばと神経発達の遅れが全体に見られました」(ジェフリー・ シーガル医師)

「試験管をつかった実験でチメロサール含有ワクチンは,チメロサールを含まないか低濃度のものにくらべて劇的に強い毒性を 示しました。……これは86年に報告がある細胞培養研究の結果とよく一致します。……分解生成物が神経毒性をもつとわかっているものを防腐剤として使い続 けているのは理解に苦しみます」(ボイド・ヘイリー教授=当時ケンタッキー大学,現在はシカゴ大学に在籍)。

▼下院小委員会の最終報告

アメリカ政府は,チメロサールが原因かどうかの判断を灰色のままに残し,ワクチンから水銀を除去することで問題に対応した。はっきり水銀が原因としてしまうと,その影響があまりに大きいのを恐れて,一応の決着をつけたことになるだろう。

しかし,ヘイリー教授は「チメロサールをふくむワクチンはきわめて強い毒性をもっています。この毒性は大部分がワクチンに含まれる化学物質との相乗作用によるものです」と研究会で報告している。

また,ファイファー医療センターのウォルシュ医師らは,

「自 閉症の患者503名をセンターで調べたところ,499名で銅と亜鉛の血中濃度が異常に高く,メタロチオネインという蛋白の機能不全を示していることがわか りました。人では,この蛋白が水銀などの重金属類を排出して血中濃度をコントロールし,神経の発達を後押ししています。メタロチオネインの機能不全が自閉 症の主な原因になっている可能性があります」と報告している。

このような背景を踏まえて,下院の議会改革委員会は調査を続け,今年からは人権福祉小委員会が仕事を引き継いだ。その結果をまとめた報告書が03年5月3日にシカゴのロヨラ大学で発表された。

報 告書は,「自閉症の症状は水銀中毒の症状ときわめてよく似ている」,「接種の義務づけで,一日8000人の子どもたちがFDAの基準を超える水銀を取りこ む」などと述べたあと,「政府機関および産業界の科学文献や内部資料をすべて見直した結果,チメロサールにはリスクがあるという明確な証拠を見つけた。低 濃度による慢性暴露によるものであっても,高濃度の急性暴露によるものであっても,そのリスクは理論上のものではなく,きわめて現実的なもので,医学文献 にそれが示されている」と明確に述べている。

▼報告書の成果と勧告

報告書の後半には,判明した成果と勧告とが列記されている。まず判明した成果の中から重要部分を抜き出して見よう。

「水銀は人に有害である。医療品に使うのは望ましくない。必要最小限にするか,完全に除去すべきである」

「合衆国の自閉症児の数は年間10%から17%の割合で増加している。この爆発的増加について,医学界は原因を究明することができていない」

「エチル水銀の神経毒性や腎毒性については不十分な研究しか存在しない」

続いて勧告の中から重要なものを拾って見よう。

「人,動物,環境からこの危険な毒物を除去する総合的方法を開発するべきである」

「アメリカ全土から科学的な知見を集め,自閉症という流行病の原因を突き止めるよう国全体で努力するため,大統領がホワイトハウスで自閉症に関する会議を召集するべきである」

「自分たちの子どもの自閉症がワクチンによって生じたと確信のある家族は,国家ワクチン障害補償プログラムに登録する機会を与えられるべきだとする条項をこのプログラム中に含めるよう,議会は法律を改正する必要がある」などと述べ,最後に次の勧告で締めくくっている。

「水銀・メチル水銀・エチル水銀への暴露と自閉症圏障害・注意欠陥障害・湾岸戦争症候群・アルツハイマー病との因果関係を研究する計画を優先するよう,議会は国立保健研究所(NIH)に指示を与えるべきである」。



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