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05/01朔…子供たちがキレる乱れた食生活1/2


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...memo

子供たちがキレる原因に乱れた食生活
――現代型栄養失調と低血糖症――

福山市立女子短期大学 鈴木雅子教授

 14歳の少年による神戸の連続殺人事件の記憶も生々しい中、バタフライナイフを使った殺人事件、衝動的な警官襲撃事件や銀行強盗等々、その後も子供たちによる凶悪な犯罪が相次いで起こっています。
 これほど大きな事件ではなくても、80年代から目立ち始めた"いじめ”は年々エスカレートし、今、子供たちはささいな事で「キレる」、「ムカつく」という言葉を発します。一体、子供たちに何が起きているのでしょうか。
 福山市立女子短期大学の鈴木雅子教授は、20年も前から「子供たちの問題行動と食生活」をテーマに研究に取りくみ、食生活を改善しなければ根本的な解決にはならないと訴えています。
 鈴木先生に、子供たちの食生活の問題点についてお話を伺いました。
暴れている子供たちの 食生活がおかしい

80年代から目立ち始めた 子供たちの問題行動

――先生は80年代の初めから子供たちの食生活と問題行動についてご研究されていますが、そのきっかけは?
鈴木 1980年代の初め頃に子供たちが学校で暴れるということが全国的に起こり、その時に「暴れている子供の食生活はおかしい」という報告を受けました。
 1975年8月に京都で開かれた第10回国際栄養学会議で特別講演されたメキシコのJ・クラビオト博士は"発育ざかりに栄養素が足りないと、子供の知能の発達や精神状態に問題が起こる”と、さらにアメリカのジョージ・マクガバンは有名な「マクガバン・レポート」で、間違った食事が子供たちの心を狂わすと報告しています。
 しかし、当時の日本ではそういうデータがなく、そこで自分で調べなければと思ったわけです。

菓子パン、コーラ、カップ麺…食事の質が低下するほど、 イライラやいじめが増える

――どのような調査を行ったのですか。
鈴木 表1、図1が私の行った最初の調査データです。
 食の質が低下するにつれて「イライラする」「腹が立つ」というのが段々増え、特に女子のEグループでは全員「腹が立つ」と訴えていました。そして、憂さ晴らし的に「いじめる」という行為もEグループで一番多くなっています。
――Eグループに入るような子供たちは、実際にはどのようなものを食べていたのですか。
鈴木 例えば、当時14歳のある少年の場合、まず朝食は食べない。お昼は福山市の中学校は給食がないので菓子パンとコーラを買って食べる。間食に菓子パン3個、アイスキャンディー2個、カップラーメン2個、コーラ1・、肉まん3個。これだけおやつを食べるともう夕食は食べられず、食べても自分の好きなものを少しつつく程度。これは、子供たちの悪い食べ方の代表的なものです。
 この少年には、学校の机をカッターで削る、すぐ教室を抜け出す、授業中奇声を発するなどの問題行動や、頭痛、腹痛、吐き気などの訴えがみられました。

子供だけではない
大人では不定愁訴が…


――こうした傾向は、大人にもみられますか。
鈴木 実は、この調査よりだいぶ前に不定愁訴と食生活の関係について調べたことがあります。
 不定愁訴というのは、体に器質的な異常がなくても、だるい、微熱が出る、肩こり、めまい、手足のしびれなどの身体的症状や、イライラ、不安、怒りっぽい、注意散漫といった精神的な症状を訴えるものです。
 18~65歳の女性を調査したのですが、やはり食事の内容が悪くなるにつれて不定愁訴がおこりやすくなることが分かりました(表2)。
 つまり、食事の質が心の健康に影響するのは、大人でも子供でも同じことなのです。

脳に必要な栄養素がとれていない "現代型栄養失調”
飽食日本の栄養不足 "微量栄養素が足りない!”


――それでは、どうして食事が心の問題を引き起こすのでしょうか。
鈴木 ギリシャ時代からヒポクラテスが「心は脳によって支配されている」と言っているように、脳が生き生きしない限り心も生き生きしません。しかし、今例にあげた少年のような食事では結局、脳の働きに必要な栄養素がとれていないのです。私はこれを"現代型栄養失調”と言っています。
 今、日本は食べ物の量が豊富で、欲しい時に欲しいものを食べられます。このため、子供たちが清涼飲料水やスナック菓子、インスタント食品など、自分の好きなものしか食べない風潮が生まれてしまいました。こうした食品はカロリーばかりが多く、健康に役立つ食物繊維や、体と頭を生き生きとさせてくれるビタミン・ミネラル類などの微量栄養素はほとんど含まれていません。

脳を活性化する栄養素が不足している

――脳にはどのような栄養素が必要なのですか。
鈴木 脳は、大人で体重の約2%程度(1200~1400g)でありながら、人間に必要な全エネルギーの20%を必要とする大食漢です。体は脂肪と蛋白質もエネルギーとして使いますが、脳はブドウ糖しかエネルギーにすることができません。しかも、体は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯えた糖分や皮下脂肪も使えますが、脳には糖を貯える場所がなく、送り込まれてきたブドウ糖しか使うことができません。
 だから、三食きちんと食べなければエネルギーが脳にまわらず、脳の働きが悪くなります。寝ている間にもブドウ糖を使ってしまいますから、特に朝食はしっかり食べてほしいと思います。
――食事の質の悪い子供というのは、食事の内容が悪いことに加え、欠食もまた非常に多いのですね。
鈴木 さらに、欠食をしてエネルギー源となるブドウ糖が不足することに加え、脳を生き生きとさせる栄養素、例えば、ビタミンB群やカルシウム、アミノ酸のグルタミン酸やタウリン、リン脂質のレシチンなどが豊富に含まれる食品を、子供たちはほとんど食べていませんね(表3)。
 また、今の子供たちは全体的にカロリーの摂取過剰で、肥満児も増えているのですが、昨年の調査では、小学生男子の10・3才ですでにダイエットを意識しているという結果が出ました。そういう年頃のダイエットというのは、自分の好きなものだけ少し食べるというような勝手な自己流でやりますから、余計ビタミン・ミネラルのバランスを崩してしまいます。



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