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自民党と厚労省…隠蔽された年金破綻


...memo

自民党と厚労省の「十年の罪業」
隠蔽された年金破綻 粉飾と欺瞞を暴く


河野太郎(衆議院議員) 西沢和彦(日本総研上席主任研究員)


5720万円の世代間格差。納付率95%の嘘。安倍首相は「100年安心プラン」を撤回せよ


年 金の「100年安心プラン」は破綻している――この事実を我々はしっかり認識する必要があります。政府は表向きはそれを認めず、殊更安心を強調しますが、 放っておけば、ある日突然、大幅な年金減額あるいは負担増を突き付けられることも、国民は覚悟しなければいけません。年金制度は極めて複雑な法律と資金の やり取りになってしまっており、もはや制度を抜本的に改めることによってしか、あるべき姿を取り戻せない。事態は深刻です。

 大方の国民は、将来の子や孫の世代に過大な負担がかかりそうだということを薄々感じながら、抜本的な改革などできそうにないと半ば諦めてしまっているのが現状ではないでしょうか。選挙区の国政報告会などで話していると、有権者の皆さんからそんな雰囲気を感じます。


 残念ながら今の政権にとって、年金改革は優先順位が低いようです。しかし国民が無関心であれば、年金は政権の重要な課題から遠のき、年金制度は利害関係者のほしいままにされてしまいます。

  今年は5年に一度の「財政検証」が行われる年で、6月に結果が公表されます。財政検証とは、いわば年金財政の健康診断。厚労省が将来、最もあり得る人口動 態や経済変数を割り出し、積立金残高の推移や給付水準など、今後の100年間の年金の将来像を再計算するわけですから、本当なら抜本的な改革に舵を切るに は絶好のチャンスなのです。

 2009年の財政検証では、積立金運用利回りを4.1%に設定したことをはじめ、様々な非現実的な前提条件 を使ったために、大きな批判がわき起こりました。ところが政治家や厚労省はこの失敗を反省することなく、今年の財政検証でもまた09年の時と同じことを繰 り返そうとしています。現実の動向を無視したバラ色の数字で辻褄を合わせ、「年金は100年安心だ」と再び主張しようとしているのです。

  例えば、田村憲久厚労大臣は5月11日、NHKの番組で、高齢者の働き方が多様化していることを理由に、現在、受給開始年齢を70歳まで引き上げられる制 度について、75歳程度まで拡大できないか検討する考えを示しました。あたかも選択肢が増えて国民の側にメリットがあるかのような印象ですが、こんなこと をしても年金財政はおそらく改善しません。田村大臣が本来やるべきことは、「現行制度には持続可能性がない」と現実をストレートに伝え、改革への道筋をつ けることであるはずなのに、その役割を果たしていないのです。

 公的年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法 人)の改革も、年金改革の本筋から外れた議論です。資産構成を見直し、国債など国内債券を減らして株式などの割合を増やすというのですが、要は現在の日銀 がいくらでも国債を買い入れる態勢にあるので、GPIFに国債を売らせて、代わりに国内株式を買わせ株価をつり上げようとするものです。主たる目的は、年 金制度の安定ではなく、アベノミクスの援護射撃であることは明らかです。

 もはや私たちはこのような状況を看過することはできません。め くらましのような小手先の対応や、現行制度を守るための数字の“粉飾”はもう終わりにしなければならない。そして一刻も早く抜本的な年金制度改革に踏み出 さなければ、将来世代は本当に悲惨なことになってしまいます。


この続きは「文藝春秋」2014年7月号でご覧ください。

2014.06.10 12:00
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1048

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