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09/01朔…ヨモギのすごい力 1/3


...memo

ヨモギのすごい力
──その多彩な効能と活用法
よもぎ健康法研究会会長 日本ネオ灸燻蒸療法普及会会長 大城築先生



奥深いヨモギの魅力──よもぎ博士からのメッセージ

 ヨモギの研究を始めて30余年。日本で初めてアルテテラピー(ヨモギ療法)を創始し、健康指導に携わり、多くの方の症状改善、健康増進に驚くべき成果をあげ、そのすばらしい力には今でも日々感動の連続です。
  2200年前秦の始皇帝の命で徐福が不老長寿の薬として求めたのが「黒茎のヨモギ」です。信長は滋賀県境にある伊吹山にポルトガル人宣教師に命じて薬草園 を設け、ヨモギを植えさせたということです。今この薬草園はありませんが、伊吹艾は今でも有名です。江戸時代中期、儒学者・新井白石は朝鮮の風習を導入 し、ヨモギの多くの効能に注目し、よもぎ草もちを普及させたようです。
 環境破壊等でいくつかの生物が消滅し、医学の進歩とは逆に病が増加している中で、沖縄高齢者の多くはクーラー病の予防と健康維持に、手づくりのヨモギ座布団を使っておられます。
 ヨモギの薬効は、近年科学的に解明されつつありますが、なお、解明しきれない程、奥深いものがあります。
 一人でも多くの方々にヨモギがお役に立つよう、利用法をさらに研究し、ヨモギの利用が広まれば科学的分析は後からついてくることと思います。ぜひ実際にヨモギの神秘の力に触れてください。


ヨモギの出合いと アルテテラピー (ヨモギ療法)
古来、世界で愛されている 薬草のダイヤモンド


大城 「春は曙」、「花は桜」といわれますが、私は常々「春はヨモギ」、「花もヨモギ」といっています。しかも、四季を問わず一年を通じて、その恩恵に浴することができるのがヨモギなのです。
 ヨモギの学名「アルテミシア属(Artemisia princeps Pampanini)」は、ギリシャ神話で健康の守護神とうたわれた、女神アルテミスの名が由来です。
 その効用は古くから世界中で認められており、フランスでは俗名「エルプ・ロワイヤル(王の草)」、アイヌでは「カムイ・ノヤ(神の草)」、中国では「医草」・「愛の草」、韓国では「やせるお茶」などと呼ばれています。
 日本では春のヨモギ摘みは一種の風物詩となっており、身近にある薬草としても最もポピュラーに使われ、食用をはじめ、着る・浴す・寝る・塗る・癒すなど実に多彩に利用されてきました(図1)。
 科学万能主義、近代医学全盛の時代になって、こうした素朴な薬草利用の知恵の多くはいつしか忘れられてしまいましたが、今再びヨモギの旺盛な生命力をまるごと活用することが必要な時代になってきています(図1)。
 日本独特の気候風土に合ったヨモギは、日本人の生理機能を活発にするのにはうってつけの、まさに薬草のダイヤモンドなのです。



高血圧が改善!
アルテテラピーの研究へ


大城 私は高校教師をしていた30代、健康診断で「血圧が高い。要注意」といわれ、病院では良くならず、そこから薬草の研究が始まりました。
 研究の過程で、「ヨモギの青汁」が良いことがわかり、しばらく続けましたが、青汁に用いる生のヨモギを毎日確保するのは大変です。いろいろ考えたあげくに、ヨモギを春から夏に採取して乾燥させ、お茶として煎じて飲むことを思いついたのです。
 それを継続して飲むことで健康を取り戻し、ヨモギのすばらしい力を身をもって経験したわけです。身近にある植物で、こんなにすばらしい効果を体験し、病気で悩んでいる人々に伝えてあげられたらと思うようになったのが「アルテテラピー(ヨモギ療法)」の始まりでした。
 アルテテラピーは私の造語ですが、これは、アロマテラピー(芳香植物の精油を利用した療法)に優るとも劣らぬ効果と手軽さを備えた、ヨモギ活用法の総称です。



「ヨモギ」の健康パワー
身体を温める ──冷え症・虚弱体質に最適


大城 ヨモギは誰にでもすすめられる薬草ですが、特に、身体を温める性質が強く、虚弱体質や冷え症などには最高の健康食品となります。
 ヨモギにはビタミンA・B1・B2・C・D、ミネラルのカルシウム・鉄・カリウム・ナトリウムなどの微量栄養素がバランスよく含まれています(表1)。
 さらに、豊富に含まれるタンニンやクロロフィル(葉緑素)などの生理活性物質(ファイトケミカル)や、シネオール、アルファーツヨン、セスキテルペンなどのヨモギ独特の精油成分が総合的に働いて、血液循環や新陳代謝を高めてくれるのです。



精油のリラックス効果

大城 青々としてみずみずしい香りの主成分は、シネオール、アルファーツヨン、セスキテルペンなどの精油成分です。
 全草重量の約0・02%と微量ではありますが、日常ヨモギの香りに接することで、アロマテラピー効果が期待できます。ヨモギの香りに包まれることで、心身をゆったりとリラックスした状態にするのです。
 シネオールには、交感神経を抑えて副交感神経を高め、脳の神経を鎮静化し、睡眠を促す効果があります。
 アルファーツヨン、セスキテルペンは目の充血を改善する有効成分ともいわれ、パソコンなどによる疲れ目、花粉症の涙目にすすめられます。



クロロフィルの宝庫 ──浄血・造血等の効果

大城 ヨモギに含まれる豊富なクロロフィル(葉緑素)は、他の野草や薬草に比べて良質で効力が強く、体内での働きが迅速かつ活発という特徴があります。
  クロロフィルは青い血液ともいわれ、血液をきれいにする作用(浄血作用)があります。さらに、ヨモギクロロフィルには、造血、殺菌・制菌、末梢血管の拡 張、新陳代謝促進、抗アレルギー、肉芽形成などの作用があり、がんをはじめとする多くの生活習慣病の予防効果、傷の治りが早くなる効果があります。
 また、クロロフィルと食物繊維を一緒に摂ると、食物繊維のもつコレステロール低下作用が強化されます。私が指導した中では、便通の改善、肥満防止、糖尿病改善などに効果がありました。



苦味・アクが、 身体を活性化

大城 少々のアクは生理作用に対して刺激となり、いくつかの効用があるともいわれているので、ある程度残っていても気にせず、むしろ珍重すべきものです。
 ヨモギに含まれる苦味成分(タンニン等)は、虚弱な臓器を刺激し活性化する働きがあり、強い刺激を与えるにはもぐさ灸(熱)として、弱い刺激を与えるにはお茶(温)にして飲みます。
 アデニンをはじめとする苦味の成分群には、老化防止、心臓機能の正常化、血液循環の促進、消炎、止血、保温等の各作用があります。
 これらの成分はクロロフィルなどとの相乗作用で、患部の痛みを抑えたり、潰瘍の進行を防いでくれると考えられます。



ダントツの活性酸素消去力と 老化・がんの予防

大城 近年多くの病気や老化に、活性酸素の関与がいわれています。
 愛媛大学医学部の奥田拓道教授は、ヨモギやオオヨモギの乾燥葉から取り出したタンニンが、老化を促進する過酸化脂質の生成を、強力に抑制することを確認されています。
  熊本大学医学部の前田浩教授は、活性酸素の中でも凶悪で、がんや動脈硬化に深く関わっている過酸化脂質ラジカルの消去能を200種類以上の野菜、山菜で調 べられ、ヨモギ(熱水抽出液)のラジカル中和能は最も強いことを突き止められました(本誌08年5月号・№414インタビュー)。
 東京大学医科学研究所の佐丸義夫講師も、各種の野草・野菜をマウスに与えた実験の結果、ヨモギを与えたマウスの寿命が長く、抗がん効果があったと報告されています。



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