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09/01朔…ヨモギのすごい力 3/3


>>3/3

食べる──スーパー緑黄色野菜

大城 食品としてヨモギを見てみると、ニンジンやホウレンソウなどの緑黄色野菜以上に身体に良い栄養素を豊富に含有し、スーパー緑黄色野菜であるといっても過言ではありません。
 栄養成分は、品種や季節により若干の変動はありますが、表(7頁表1)に見られるように、体に必須なビタミン・ミネラルなどの微量栄養素を豊富に含み、さらに食物繊維の含有率は21%、蛋白質はお米と同じ7%と、総合的なバランスで優れています。
  沖縄では昔からヨモギ(フーチバー)は畑で栽培し、ホウレンソウ、春菊などと一緒に並べてスーパーなどで野菜として売られています。「おひたし」「和えも の」「炒めもの」をはじめ、「フーチバー麺」「フーチバージューシー(雑炊)」などいろいろな料理に用いられています。
 ここ数年は、学校給食や病院給食にもヨモギを入れた料理が増え、血液浄化、健胃などに役立つ健康食としてとり入れられています。
 調理のポイントは、塩ひとつまみ入れたたっぷりの湯でさっと茹で(おひたしの場合は柔らかくなるまで)、すばやく冷水に放ち、ざるにあげて水を切り、各料理に用います。なお、茎は固いので、蒸煮すると良いでしょう。
  私が特におすすめしたいのは、雑草として生えているヨモギの新芽だけを摘んで、アク抜きせず、味噌汁にネギなどの薬味代わりに2~3枚入れて召し上がる方 法です。難しい理屈を抜きにした手っ取り早い食べ方で、食べ続けると体の変化を体験できます。香りも漂い、アクは味噌で中和されますから、成分は破壊され ません。



入浴・寝具・衣料 ──保温・安眠・美肌に

大城 抜群の保温効果で血液の循環を良くし、心身をリフレッシュ、リラックスし、消炎作用や鎮痛・鎮静作用で興奮している神経をおだやかにしてくれるのが、入浴や寝具、衣類への活用です。
  ヨモギ入浴剤(全草を陰干し乾燥し袋に入れる)を入れたアルテバス(ヨモギ風呂)では、精油やクロロフィルなど数々の有効成分が皮膚から深く浸透し、抜群 の保温効果をもたらします。揮発した有効成分は浴室を良い香りで満たし、アロマテラピーも同時に行なわれ、美肌はもとより、神経痛やリウマチの痛みをやわ らげたり、痔や冷え症にもよく効きます。
 ヨモギの乾燥葉を枕やマット、座布団の中に詰め、その上で休息をとったり、睡眠をとると、体が温ま り、 心身が安らぎ、安眠を約束できます。特に、冷え症、夜間頻尿、不妊症で悩んでいる方、床ずれで困っている方、睡眠薬を飲んでも不眠症が治らない方に、ぜひ おすすめします。沖縄の高齢者の多くは、クーラー病の予防と健康維持のために手づくりのヨモギ座布団を使っておられます。
 古来の草木染めの技 法 を応用したヨモギ染めは、自然のやさしい色合いを楽しめるだけでなく、直接肌に触れる下着類などに利用すると、健康回復、健康増進のために役立ちます。抗 菌作用にも優れ、皮膚細胞の活力を増進し、防臭の効果もあります。ヨモギ染めの布は殺菌力が強く、あせもにならないということで産衣に愛用されてきまし た。


究極の、和風アロマテラピー

大城 民間療法で、痔や水虫にヨモギ葉の煎じ殻(出がらし)を当てると良いといわれていますが、それだけではなく、燻蒸療法といって、ヨモギの乾燥葉をいぶした煙を患部に当てる方法もあります。
 ヨモギは元々、艾の原料としてさまざまな効果を発揮しています。私は、これを進めて「大城流香煙燻蒸療法」として、ヨモギを活用した線香を数年前に開発しました。
  私が開発した「世茂喜香」は、心と身体をリフレッシュする〝香りの健康〟をテーマに、ヨモギを中心とした芳香高等植物のみで製品化したものです。主原料の ヨモギに自然の薬用植物をブレンドすることで相乗効果が得られ、消毒、鎮痛、催眠、強壮、ストレスや疲労の解消、疲労からくる目の充血の改善などに有効で す。用途に応じて「洗浄香」「安静香」「うず巻香」「畜産用香」なども開発しました。
 大城流香煙燻蒸療法では、「世茂喜香」だけでなく、特製の用具(温灸・艾煙チェアー。温灸ベッド)を開発し、痔の療法に良い結果を上げています。



湿布・塗布・洗浄・吸入

大城 ヨモギのエキス(飲用療法で用いるエキスとは別)、煎液、生葉のすりつぶしたものなどを、湿布、塗布、洗浄、吸入などで利用します。
 特に、神経痛、関節炎、打撲、虫刺され、皮膚炎、腰痛、肩こり、肝臓障害などに効果があり、患部が冷えている時は温湿布を、熱をもっている時は冷湿布を行なうのが原則です。
 ヨモギエキスを塩水で薄めてうがい薬に使うと、風邪やぜんそく、扁桃炎、咽頭炎などの予防に効果をもたらします。
 傷・虫刺されには、ヨモギを揉んで汁をつけてやっても有効です。夏場の蚊には、庭先のヨモギがあればそれを摘んで乾燥させていぶす。いぶすとヨモギの香りに除虫効果があります。



採集・保存

大城 道路端の汚染源は避け、湿気の少ない日の午前中、朝露が消えたばかりの時に採集します。必要な部分だけを採集し、量も必要最小限にとどめましょう。
 採集時期や採集部分は品種や用途によって違います。図表(13頁図2・表4・5)を参考にしてください。
 採集にはナイフかはさみを使用し、根などは園芸用スコップを用いて傷つけないよう深く掘ります。採集したヨモギは葉、茎など部分に分けて新聞紙などで包み、できるだけ早く持ち帰ります。
 生葉で保存する場合は、葉を水でよく洗ってから水気を切ってビニール袋に入れ、中の空気を完全に抜いて輪ゴムでしっかり口を密閉して冷蔵庫に入れます。冬なら10日以上はもちます。
 長期保存には乾燥します。葉、茎、根、花穂など部分的に利用する場合にはざるなどに広げて乾燥し、全草乾燥の場合には10本ぐらいずつ根元をひもでくくって、軒下などにつるして乾燥させます(表5)。



栽培

大城 ヨモギは地下茎で繁殖する多年草で、一度植えれば毎年春には新芽が出ます。
 家庭でも簡単に栽培ができます。根ごと苗をとってきてプランターや鉢に植え、いつでも好きな時に葉を摘んで、アルテライフができれば最高です。
 庭や畑では、日当たりと水はけの良い場所を選んで植えます。
 どの栽培方法でも、土が乾燥したらすぐに水をやるようにしてください。




月刊「自然食ニュース」テキストデータ 2008-07 (416号)
http://www.sizenshoku-news.com/news/backno/int/i200807.htm
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