クリスマスデスティネーション 第二章 第三節
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/01/28 21:36:19
「よし!これでもう大丈夫だろう」
ようやく上司から作戦終了指令が下りた。
相変わらず一人黙々と
決して終わることのない作業をこなす壁掛け時計を見ると8時23分を指していた。
約束の7時を大きく過ぎている。
携帯を確認すると案の定トオルからの着信とメール。
ユウコは駆け出した。
...
毒吐き男じゅんの前向きなポンチョ
あなたがまとった心の『ポンチョ』脱がせてみせます
「よし!これでもう大丈夫だろう」
ようやく上司から作戦終了指令が下りた。
相変わらず一人黙々と
決して終わることのない作業をこなす壁掛け時計を見ると8時23分を指していた。
約束の7時を大きく過ぎている。
携帯を確認すると案の定トオルからの着信とメール。
ユウコは駆け出した。
...
リョウと出会って一年が過ぎた。
自分の想いを伝えるどころか、未だに彼とはろくに会話もしていない。
彼の無愛想と私の愛想良さがいつも邪魔をしていたから。
でもその時は突然やってきた。
夏の合宿で訪れた避暑地で偶然リョウと二人きりになった。
思わぬシチュエーションに一瞬戸惑ったけれど
いざと...
白い壁紙よりも昔から、まるでそこにあったかのような味気ない壁掛け時計が夜の7時を指す。
都心の一等地にそびえ建つ、人々が慌しく動き回っているオフィスビルの一室。
絶え間なく鳴り響く電話の呼び出し音、飛び交う怒声。
書類を片手にデスクを行ったり来たりする女性がいた。
行く先々で何やら指示をして...
時計の短針が8の字を指している。
一時間間隔で動くようになっているらしくツリーが再び輝きだした。
トオルはさすがに少し不安になってきた。
メールや電話をしてみたが反応はない。
もしかしてユウコの身に何かあったのだろうかと一瞬考えたが
度重なる遅刻でその辺の感覚は普通の人よりも鈍感になってい...
やがて大学卒業の時が迫りトオルは再びユウコに告白をした。
軽井沢のあの日以来、トオルの気持ちが変わることなど決してなかったから。
少しずつ、しかし確実にその想いは募っていったから。
友人に誘われコンパに出たりもしたが、会う女性全てをユウコと比較していた。
自分でも未練たらしい最低な奴だという...