Nicotto Town



もうひとつの夏へ (5)

子供たちのにぎやかな声と、母親たちの冷たい視線に押し出されるように公園を後にした。

「さて、これからどうしよう」

そもそもこれは何なのだろうか?
夢?それにしてはリアルすぎる。
現実?こんな馬鹿げた現実があるはずがない。

どっちでもいいか。とりあえず、どっちであっても目的は果たせた。
それは間...

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もうひとつの夏へ (4)

2人は宙に舞った。佳代を抱きかかえるようにして、左肩から地面に叩きつけられた。
衝撃を防ごうと、手を後ろへ伸ばそうと考えたが、結局佳代の保護を優先してしまった。

「痛ぅ・・・」
激痛のあまり、そのまま、のたうちまわり仰向けに転がった。
(ヒビくらいは入ったかもな)
牛乳と小魚は食べておくんだったと...

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もうひとつの夏へ (3)

当時は、判らなかった事だが、この@ニフィティ駅は広大で複雑に入り組んでいるまるでパラレルワールドのような駅だった。
なんでこんなとこで待ち合わせなんかしたのか・・・。今では少し後悔している。
当時は頭が真っ白で、何も考えられなかったが、今ならはっきりと判る。
そう、確信があった。佳代は来なかったんじ...

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もうひとつの夏へ (2)

大富豪ビル。文字通りどこかの大富豪が道楽で建てた物だとか、奇抜な外観が、その信憑性を疑いないものにしてしまう。
(大体、金持ちの感性ってのは一般の常識からは大きく逸脱しちまうものだからな・・・)
そんな事を、おもいながら入り口へ立つ。
自動ドアをくぐり、受付を探す。すぐに見つかったのだが、そこで足が...

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もうひとつの夏へ (1)

その日は朝からやけに蝉がうるさかった。今思えばあれが虫の知らせって奴だったかも知れない。
毎晩の暑さにうなされ、今夜もようやくうとうとし掛けた時に、不意に電話が鳴った。

「見たことのない番号だな」 

普段なら出たりはしないのだが、なんとなく通話ボタンを押してしまった。

「もしもし」女の声だった...

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