技術者の頑なさと柔軟さ
- カテゴリ:日記
- 2010/05/27 23:30:37
今日の仕事は完全に失敗でした。しかし、これは技術者が抱えるジレンマであるので、仕方ないとも思う。
データの移行の作業に関して、僕は評判の高く自分でも使った事のあるフリーのソフトの使用を提案。しかし、上司は OS 標準のソフトを使う事にこだわった。これは、標準のソフトの「信頼感」を大切にしたからだろう。ただし、これは僕の考えでは「信頼感」であって「信頼性」ではない。
そして、実際の作業は僕が最初に標準のソフトで行ったが、思いっきり失敗した。そこで僕は再度、フリーのソフトの使用を提案。しかし、上司は頑なに標準のソフトにこだわった。
そこからは上司が作業したのだが、やはりうまくいかない。そこでさらに僕はフリーのソフトの使用を提案。しかし上司は「フリーのソフトと標準のソフトの両方」を使う事にした。
結局、試行錯誤が繰り返された結果、予定時間を大幅超過してしまった。
こういう事は、別段珍しい事ではない。どちらかというと、僕は「完全な技術者
」寄りの人間ではなく、「サポート」寄りの人間であるから柔軟な提案をする。ただし、それが「信頼感」があるとは限らない。顧客には「信頼感」のほうが大切な場合もある。
話は変わってロケット開発と「はやぶさ」の話。
最初の純国産ロケット H-II 8号機の第1段エンジン「LE-7」の故障は「なるべく設計を変えない」という、ロケット開発のセオリーが生んだものだった。
H-II の燃料は液体水素と液体酸素。エンジンの酸素側は事前の試験で異常が発見されたため設計変更がされた。しかし、構造が同じ水素側は変更されなかった。結果、H-II 8号機は打ち上げ失敗となる。その後、海底に沈んだエンジン部分を引き揚げて検証した結果わかった事だった。
ロケットと比較するにはあまりにも違いがあるけれども、工学実験機である「はやぶさ」はその柔軟性はもの凄いものがある。特にイオンエンジンの運用については、単純な推進力を出すだけでなく姿勢制御にも用いられているし、現在は壊れていないエンジン部分を組み合わせた「クラスタ運用」で地球に向かっている。
「信頼性」とは何か。これは難しい問題だと、今日はつくづく思った。
「ここは折れてはいけない」、そういうところは必ずあると思うんです。ただ、今回の件に
関して言えば、もうちょっと僕の言う事を信じて欲しかったな、と思いました。
「はやぶさ」は本当に頑張ってます。「はやぶさ」自身も、運用する人たちも、一つの目標に
向かっているという気概が、ブログやツイッターから伝わってきます (・∀・)
>>源内さん
そうなんです。僕のはこれまでの「経験則」だったので、技術的に「ここがこうだから、
大丈夫です」と言う事を、説明できなかったんですよね。だから、一応提案はしても上司の
判断に任せていました。
上司がどう判断するか、僕は逐一観察していたわけです (-∀- )
>> SAYKA.さん
僕も正直「効率」を考えれば、自分の案が正しかったと思ってはいます。上司もそのソフトが
どういう原理で動いていて、信頼できるかどうかの判断も出来たと思うんですね。
「評価」と「ブランド」に流された感じがします。残念です。
作業者が効率よく変換したものを確認者が効率よく確認すれば良いだけの事・・・
上司のは信頼性ではなく「より多くの人が使っている」という「評価」を信じたに過ぎないと思う。
多くの人が使っているから良い物とは 限らないのがソフトウェアの世界なのにね・・・。
直感というものは、意外と理解されないものなのですよね。
その直感は、まさに感覚的なものだから、単純に言語で表現出来ず、
相手に理解してもらえず、それ故に「頑固者」と認識されて・・・。
難しいよねぇ・・・。
私も柔軟さが重要だと思うのですが、
たまには頑なさも必要ですし、さじ加減が難しいです
はやぶさは、すごいですね。技術者として応援したくなります^^