Nicotto Town



№19 そのその。



   去年果たせなかったこの時が。



              やっと来たんだ。


  №19  そのその。

 「ねぇ。新」
 「茜…どうしたの?」
 「新はさ…」

 來桐高校の演奏終了後、喜多河高校の演奏者が舞台裏に集まっていた。
 その時、茜が新に話しかけた。

 「新は昴の事どうだったの?好きだったの?」
 「…。」
 「本当の事言っていいから。好きなの?」
 「はぁ…本番前に…うん。好きだったよ。
 昴が僕好きだった事も知ってたしね。」
 「…だったらなんで告白しなかったの?一昨日も部屋来たのに…」
 「だって…今幸せそうだし。茜もいるし。」
 「…そ…っか。うん。分かった。」

 茜は中途半端なところで話を中断した。
 茜は昴から本当に新を奪ったんだと、今突き付けられた気がした。

 ≪続いて、喜多河高校吹奏楽部のみなさんです。
 指揮は相川 蘭先生…≫

 話しているうちに本番だった。
 この地区の大会は変わっている。
 本来高校生大会と中学生大会は別なのだ。
 しかし、昴と要が会えたのは2つの大会を一気にやってしまおうという
 主催者の大雑把なところがにじみ出ているから。

 演奏が始まった。
 その時、昴は要に話しかけた。

 「あの…」
 「あ?お前聞いとかなくて良いのかよ?」
 「いやいやいや。それどころでは。トランペット。音おかしくないですか?」

 昴は要に言った。

 「…本当だな…あいつじゃねぇのか…?」
 「3rd…茜だ‼なんで?」
 「震えてるぞ…あーあ…今回も接戦を期待してたのにな…」



 喜多河高校の演奏は終わった。

 「茜…なんでだろ…」
 「新から、昴から…色々奪ったって思ってんじゃねェのか?」
 「そんな…」

 喜多河の人たちは…

 「新。」
 「星。どうしたの?」
 「茜…どうしたの?」
 「…本当の事言ってって言ったのにね…?」

 新は茜が言えと言ったから言ったのにと疑問でいっぱいだった。



 「あ~あ。まぁ当たり前の結果か…おい昴。行かなくていいのか?」
 「…いいです。茜の問題ですから。新が絶対ちゃんとしてくれてます。」
 「あぁ。そっか。おう。」

 結果は來桐高校・代表金…。
 当たり前と言えば当たり前なのだ。
 つい最近まで強豪校2校だったのにと、要は思った。

 「帰るか。ホテル。」
 「あ…はい。」

 來桐高校は結果を聞いた後、会場を後にした。


  
残念でしたね、喜多河…;




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