私欲を満たす
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/16 23:22:57
いきなり目をやられるとは思わなかった。
手で左顔をおおいひざをつく。ぽたぽたと血がしたたった。治らない・・・。
物理的なダメージは瞬時に回復する体であるにもかかわらず治らない。
エルドランだからか。
治癒力は魔王に依るところの能力。光の化身エルドランのじきじきの攻撃には打ち消されるのだろう。
肩をつかんで仰向けに倒された。
見下ろすエルドランの目に狂喜の色が見える。
「心臓は胸にあるのかゴクアーク。急所はヒトと同じに出来ているのか…?」
「ニンゲンの体のことなど知らん。心臓は…わしらと同じだ」
「了解した」
エルドランが右手をひらめかせると、その手に光の矢が現れた。剣のようにも見える。
無造作に、無表情にエルドランはそれをヤミノリウスの太腿に突き刺した。
「っっっっっっ!!!」
ヤミノリウスがもだえる。
「声を出さないとは思わなかったな」
「キサマの慰みの手伝いなどになるものか」
睨み返したエルドランの肩越しに、こちらに切っ先を向ける光の刃がぐるりと辺りを取り巻いて浮かんでいるのが見えた。
15本。
「そうか。何本目でその声が聞けるのかそれはそれで楽しみだ」
拷問の始まりですっっっ!!
だってノンコさんが15本剣を突き刺してたから!!
魔界獣ヤミノは太腿なんてないはずですけど、そこは小説マジック。