Nicotto Town



ゴクヤミが幸せなんだおいら。

魔王の前だというのに、とどめを刺すのに躊躇してしまった。

討てと命ぜられた相手を…倒せなかった・・・。
ヤミノリウスは力なく 消滅した一帯の煙に目を落としていた。
「お手をわずらわせてしまい 申し訳ありません……」
ヤミノリウスのふがいなさに、後ろからゴクアークが自ら手を下すという結果になったのだった。あんな小物あいてにお立ちいただいてしまうとは。
まさに消し飛んだというほかない。
雑作もなくただのひと振りであとかたもなく消滅させてしまった。
魔王のおそるべき破壊の力を見せつけられ、ヤミノリウスの目にはその光景が焼き付いてしまっていた。

相手は……涙を流していたのに。

ゴクアークが不満げに言う。
「泣かれると動揺するのかキサマは」
そのとおりだった。
「まったく、冷厳のヤミノリウスの二つ名は二代めまでか」
初代の冷酷無比な命令遂行は大魔界でいまだ語られる。ゴクアークが新王の座に就いたとき、その命に従い昨日まで仕えていた前王を討ったとか・・・。
ひとびとが賞賛するその武勇を、Ⅲ世はあまり好きではなかった。
わたしなら仕えるのはただひとりだ。職務とはいえ時々の王にひざまづくなど考えられない。それ以前に、主君に王座を追われたりなどさせない。命を落とすまで守りぬく・・・!

だが今 現実として魔王の命を果たせなかった自分がいるのだった。
あきれた。こんなことでは戦えない。守りとおすことなどできない。
こんなことでは……
「申し訳ございません・・・」
ゴクアーク様に見限られてしまう・・・。
「キサマのその涙のわけを聞かせてもらおうか」
われ知らず涙をこぼしていたのだった。とっさにぬぐいゴクアークに向き直った。
「失礼をいたしましたゴクアーク様。大丈夫です、障りありません」
「わけを聞かせろと言ったのだ。役にも立たん上に障りないなどよくも言えるな」
けだしそのとおり。ゴクアークの腹立ちは当然だ。
ヤミノリウスは素直に「ご期待に添えなかったのが無念で」と述べた。
「ふうん……」
ゴクアークは驚きも感心もしないでヤミノリウスの言葉をすべて聞いて待った。
「…失望されたでしょうか」
「お前自身が自分に失望したのであろう」
ゴクアークの顔がヤミノリウスに迫った。そして目を覗き込んでなにごとか納得したようだった。
「今殺したクズに同情してのことであれば、キサマの目など涙を流せぬように斬ってやるつもりであったが。」
ああ、そうか。と、ヤミノリウスは思った。確かにそう見えただろう。
「ちがうのだな?」
もちろん、ちがう……。
だがうらはらに、ヤミノリウスの目はみるまに潤んだ。先ほどの光景が甦ったのだ。身を縮め、戦意もなく泣いていたあの相手・・・。

「……っ・・・」
ゴクアークを見上げたまま涙はこらえた。しかし胸の痛みは激しかった。嗚咽が漏れそうなのを必死に抑えるが、隠せるものではなかった。
あきれたようにゴクアークがヤミノリウスを掴み引き寄せた。
「心なぞ余計なものを持ったものだな」
されるがままの覚悟を一瞬したヤミノリウスだったが、巻き付く力はやわらかく 頭を押さえつけられる感触は愛撫にも似ていた。
「今回だけは許す、お前の涙はここで涸らせ。以降はたが為にもおのが為にも涙など流してはならぬ」
包み込まれるように抱き寄せられ、驚いていると
「声をあげても構わん、存分に泣け」
と、頭上から聞こえた。
耳にしたとたんたちまち涙があふれ出た。
こんなことは最初で最後。二度とはあるまい。
顔をうずめ、喉を鳴らして泣いた。抱きつくというよりしがみつくのに近かったが、力を込めると強く抱き返された。

涙が涸れるには ずいぶんとかかりそうだったーーー。


 
 
 
もう 妄想のほうが先に行っちゃって 文がかけなかった(;´Д`)ハアハア
亜衣子さんにへの "おーい泣くなよお" へつながる話だったんだけど もういい。
おなかいっぱい。

アバター
2010/09/03 14:14
とどめをつけてみたよ。
アバター
2010/09/03 00:22
私を殺す気ですか?はあはあはあ



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