Nicotto Town


としさんの日記


「山男とサーファー」15


一晩たって、ナンガは変容していた。昨日の顔はもうそこにない。恐れていた結果が現実として起こった。
 俺は絶望的な気分になった。新ルートをあらたに捜しださねばならなくなった。
 BC(ベースキャンプ)に着いてから三日目。天候は悪化。
 一日、二日、三日、更に過ぎる。天候依然変わらず。四日目にして、ようやく晴れ間が見えはじめた。昼ごろには、完全にナンガが姿を現す。
 俺は細かな観察をはじめた。二ヶ所において雪崩が見られる。
 俺はYさんと調査にでかけた。
 双眼鏡でルートを捜していると、Yさんが叫ぶような調子で俺に云った。

 「君には恋人がいないのか! 愛する人がいないのかい」

 俺は双眼鏡から目を離して、彼の方を振り返った。彼は大きな溜め息をすると、遥かナンガの頂から稜線を追い、蒼穹の高みにまで、遠い目を向けていた。
 「残念ながら・・・」俺は答える。
  
 「愛したことはあるのかい」
 「たぶん、一度だけ!」
 
 俺はもう一度大きく息を吐くと、首を振った。仰ぎ見ている彼の顔は、白い世界から、レリーフのように浮き出て、心なしかその真っ黒に日焼けした相貌も、青ざめて見える。

 「僕は未だに分からないんだ。あそこに行くってことが・・・。この氷河に立ってみると、余計それが実感として湧いてくる・・・・・・。こいつは、戦慄すべきものさえある。間違ったって、僕は行きたいなんて思やしない。ただ、ただ、眺めているだけで、触れようなんて気にもならない。凄まじい怒りを込めて、人を拒絶している」

 俺は、海に挑んで敗れた、あいつの彼女の姿を、ふと想い浮かべた。涙も涸れ果て、うち沈んだ喪服の彼女を、俺は愛おしいと思った。間違いなく、俺も彼女を愛していた。
 なぜ、あの時、船に乗り込む彼女の後ろ姿を黙って見送ってしまったのか、後悔の念がふつふつと湧いてくる。しかしそれも過ぎ去ったことである。

 「こいつはモービィーディックか、君にはその招き寄せる魔の手が、たぶん恋人に見えるんだろうな。僕にはフィルムに焼き付けることだけで、精一杯さ。こいつは、甘い罠をしかけた、ローレライかもしれない」

 今では、招き寄せる魔の手が、俺にはとてつもなく愛おしかった。
 今まで、幾多の人間がこの山を見、そしてなんとか頂にその足跡を残したいと思ってきたことか。人々の払ってきた、その代償は非常に大きかった。
 俺たちを庇護し生命の糧を与えてくれる、母とも呼べる肥沃な大地もあれば、頑強に拒絶し、たとえ草木であろうと、その生命が息づくことを全く許さない大地もある。同じ地球という単一の星の上でありながら、与えられる環境の全く異なった地域が存在することは、創造主の気紛れによるものか。

アバター
2010/10/01 02:57
はるなちゃんありがとう。
コメね。別にいいんだ。読む人は読む。関心ない人はスルーしていただいて。
コメントが欲しくて書いている訳じゃないんだよ。自己満足、ただそれだけ。
こちらではコピペ。
長く書くとフリーズするから。
google検索で、ウエブ履歴調べると、1日500アクセスあります。便利な機能で、4つのサイトで書き分けしているけど、その日の、時間とアクセス数が表示される。全部のサイトのね。
もう、無言の読者さんも多いね。おいらの本名で小説ワールドで書いているけど、gooさんで多い時は180万ヒットする。少なくて31万ヒット。
それだけ、おいらのこと関心もっていただいて、世界中で読まれているからね。
翻訳機能はすごいね。180万のあらゆるサイトからアクセスされているから、変なこと書けないよ。

180万って凄すぎない?あらゆる企業などで、引用されている。影響力の恐さ、コメントはいらないよ。
パンクしちゃうから。
連載小説、エッセイ、医学、教育、社会問題など他のサイトで書いているけど、アップしたらもう超重たくなるからね。
アバター
2010/09/30 22:21
ブログのコメありがとうwww
好きな人わいないの・・・・

としs・・・・・
他の内容を書いてみてわwww
だれもこめしてないよ(◎д◎)=3



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