Nicotto Town



【守りたいもの~その2~】

ザクⅡのマシンガンが火を噴く。
いつものように僕は目の前の敵をただ何も考えずに葬っていた。
そうしなければ生きていくことは出来ない。
生きるために戦う。
生き残るために敵を倒す。

頭上でアラートがけたたましく危険を告げる。
レーダーを見ると、背後をとられたようだ。

『くっ!』

旋回

横に滑って相手の攻撃をかわす。

目の端を紅の閃光がすり抜けた。

『ジムか!』

すでに腰のヒートホークに手はかかっている。
抜き放ち、正面に捕らえたジム目掛けて振り下ろすが、相手のビームサーベルと切り結び、激しく火花が散った。

『速い!?』

視界に入ったジムの胸に僕が見たものは横一文字の傷跡。

『まさか!アスナ!?』

再度、黄金の斧と紅の剣が切り結ぶ。
僕は・・・どうすればいいんだろう・・・。
アスナの哀しげな笑顔が僕の胸に浮かぶ。

アスナの機体の背後から味方機がアスナのジムに銃口を向ける風景が僕の目に映る。

『僕は・・・僕は・・・』

考えるよりも早く体が動いていた。
黄金の斧はアスナのジムをすり抜け、アスナの背後のザクに吸い込まれるように攻撃を仕掛けていた。

『僕は・・・僕の守りたいものは・・・!』

そう、アスナがジムから降り立ったあの瞬間から、この運命は決まっていたのかもしれない。
僕にとっての守りたいものがアスナの笑顔になることが・・・。

『アスナ!君だ!!』

爆発炎上する味方であったザクの炎に照らされながら、僕は決心していた。
例えこの道が裏切りの道であったとしても。
かつての仲間を手に掛ける罪を負おうとも、アスナを守るべき道が自分の進む道であると・・・。

僕はザクのコクピットのハッチを開け、砂漠の砂の上に足を付いた。
僕を見つめるアスナの表情がジムのカメラアイを通してもわかる。

ジムのコクピットのハッチが開き、ひざまづいたジムの機体からアスナの腕が伸ばされる。

『来て・・・くれるの・・・?』

アスナの腕をしっかりと掴み、僕はアスナの胸に飛び込んだ。

『ああ、守りたいものを見つけたから』

コクピットのハッチを閉じ、アスナと共にジムの操縦桿を握る。

『アスナ、僕に君を守らせてくれるかい?』

アスナは操縦桿を掴む僕の手を握り返した。
温かい手だった。
そして、力強い手だった。

『行こう!共に!』

僕は愛機だったザクに背をむけ、アスナと共に歩き出した。
戦場の爆煙が僕らを責めていたのか、祝福していたのかはわからない。

けれど僕は見つけたんだ、守りたいものを。
自分の進みたい道を。

今夜からは悪夢はもう見ないだろう。
僕の横にはアスナがいるのだから・・・。

                      END

アバター
2010/09/18 14:46
あぁぁぁぁぁ~~~!!!
色々盗んじゃいたい表現がありすぎて困っちゃうくらいです^^



Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.