Nicotto Town



~keep one's promise...

【~keep one's promiseその2~】

かびごんの部屋のドアが軽くノックされる。

『どうぞ』

かびごんはノックの主が誰だかわかっていたのだろう、相手を確認することなく入室を促した。
ドアが開き、顔を覗かせた相手はかびごんの予想通りの相手だった。
ピンクの髪が今は二つに結われて、軽く揺れていた。

『入りなさいよ』

ドアの前で躊躇するソフィアに入室を促すかびごん、今は軍服を脱ぎ胸元が大きく開き、美しい体の線を浮かび上がらせるワンピースに着替えていた。

『失礼します』

ソフィアの顔にいつもの明るい表情はなかった。
かびごんはソフィアにソファーに座るように手で勧め、自分はスツールに腰掛けた。

『怖いの?』

黙ったままのソフィアに厳しい表情でかびごんは声をかけた。
ソフィアが声には出さずこくりと頷く。

『私、かび姉さんみたいに強くなりたい』

俯いたままのソフィアの肩が小刻みに震える。
そんなソフィアの肩を抱き、かびごんが諭すように言った。

『ソフィ、誰だって出撃前は怖いのよ、私だってそう』

『かび姉さんが?』

驚いたようにソフィアが顔を上げかびごんの瞳を覗き込む。
かびごんの瞳はソフィアをしっかりと見つめていた。
ソフィアが堰を切ったように話し出す。

『私、本当はいつだって怖いんです・・・タンクは常に危険に付きまとわれる機体だって、いつか隊長が言っていました』

『それで隊長はなんと言っていたの?』

今にも涙のあふれそうなソフィアの瞳をじっと見つめてかびごんが言う。

『けれど・・・そのために俺達仲間が居るんだって・・・』

かびごんが大きく頷いた。
ソフィアを安心させるように肩を抱き、耳元で囁く。

『そうよ、皆が貴方を守るわ、もちろん私も・・・』

ソフィアの震えが止まるのを確認し言葉を続けるかびごん。

『私が信じられない?』

かびごんの言葉にソフィアが慌てたように首を振る。

『私、私、本当はいつも怖くて・・・でもほかに何も出来ないから・・・私・・・』

後は嗚咽で言葉が続かなくなったソフィアをかびごんは両腕でしっかりと抱きしめていた。
まだ恐怖というものを知っていた頃の自分を抱きしめるように・・・。

『さあ、落ち着いたらもう寝なさい』

かびごんはひとしきり泣いて落ち着いたソフィアに声をかけ自室に帰り眠るように促した。

ソフィアも素直にそれに応じる。
部屋を出て行くソフィアの背中にかびごんは再び声をかけた。

『大丈夫、皆が貴方を守るわ』

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