Nicotto Town


ゲィッュチ


しあわせな二人のちょっと愉快なつきあい方

「指先と健康」をめぐる、愉快な実話がある。美しくて、タメになるお話である。
 私のある友人の奥さんが、病をえて、数日間床についた。いくらかよくなりかけてきたこ
ろ、彼女が彼に「指圧をしてほしい」と訴えた。ガスかたよっているのだが、出てくれない、
気ばって出す力もない。これが出ればスッとして、楽になれるにちがいないから、肋けてく
れ、というのだ。
 そこで夫君はシロウトなりに、しかるべきツボらしきところをまさぐりながら、けんめい
に指圧をしてやった。二十分ほどもしてやったそうである。
 「もういいわ、ありがとう」といわれて、自分の部屋に引きさがった。奥さんに目的のもの
が一発もなかったことが、気にはなりつつも、また、「そう、すぐに効くというものでもあ
るまいし……」と、あえて思いながら……。
 と、彼の腹がグウと鴫った。中で何かがうごめく気配である。……と思う間もなく、豊か
な気体が出口のほうヘドドドと押しよせてきて、大きなヤツが爆発するようにブーッ。すぐ
につぎのが……。また、 つぎのが……。後続部隊が絶え間なく押しよせて、合計十何発も出
たそうである。
 かつてなかったほどの現象だから、自分で呆れるやら、おかしくなるやら、自室で一人で
笑いころげたそうだ。笑うのに合わせて、下からも伴奏が鳴ったりして……。
 「人が見てたら、おかしな人だと思っただろうねエ。それにしても、おもしろいじやないか。
女房に屁をひらしめようとして、結果はこっちのほうが、お祭りさわぎみたいに出たんだか
らなア。あとで彼女に聞いたら、ご小さいのがチョツト。だけど、それでずいぶん楽になっ
たわ。ありがとう″だってサ。どうなってんの、これ?」
 「こうなって」いるんです。指圧というのは、やる人自身の指先にも、強烈な刺激をあ
たえるものだ。めったに加えることのないその刺激を、二十分間もあたえつづけたのだから、
健康で、生命機能の充実していた彼には、ことのほか効いてしまった。内臓にまで強くひび
いて、ただちにああいう結果を生みだしたのだ。
 奥さんのほうは、目的物の近辺に刺激を加えたにもかかわらず、生命機能が衰えていたた
めに、チョツトしか出なかったのである。ただし、「それでずいぶん楽になった」は、事実
であったろう。病人にはこのチョツトが、大きいからである。
 この美談が教えるところは小さくない。「求める人よりも、あたえる人にこそ、多くのも
 のがあたえられる」という真理を、実証しているからである。

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2011/10/20 22:24
えっ・・それじゃ指圧って、自分の身体にも効くってこと(・・?
じゃあがんばって誰かに指圧してあげなきゃ~^^







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