良いネタ振りをいただいたので、今日は過去から現在までの Mac と Windows の歴史を振り返ってみます。かなり端折っているところもありますし、間違っているところもあるかと思います。間違っているところがあったら、ご指摘ください。


【Apple の誕生】

Apple は二人のスティーブ、スティーブ・ウォズニアックと現 Apple の CEO であるスティーブ・ジョブズが自宅のガレージで始めた会社でした。

二人は Apple I というボードコンピュータを作り、その後、その資金で大ヒットとなる Apple II を売り出し、Apple は大きな会社に成長させました。


【Macintosh の誕生】

ゼロックスのパロアルト研究所で開発された、Alto というコンピュータを Apple の技術者が見学に行き、衝撃を受けます。画面の中に表示されるオブジェクトをマウスを使って操作する。これまでの「コマンドを入力して操作する」コンピュータとは全く違うものです。

Apple の技術者たちは Alto に刺激をうけ、グラフィカルユーザインターフェース (GUI) を搭載したコンピュータの開発に乗り出します。

開発には試行錯誤の連続がありました。今でこそ「○○していいですか？ キャンセル／OK」のダイアログは当たり前のものですが、当時は OK ではなく Do it! でした。これらは開発過程で一般の被験者に使用してもらい改善されていった事例の一つです。

ウィンドウのタイトルバーをドラッグして移動する。表示しきれない内容はスクロールバーを表示してスクロール。スクロールバーは右と下など、今、当たり前になっている事はこの頃の試行錯誤があっての事です。

そして、GUI を搭載したワークステーション「Lisa」が発売されました。しかし、値段がとんでもなく高かったため、全く売れませんでした。そして、Apple の主力商品である Apple II の後継機の開発もなかなか進まず、IBM の PC-AT (現在の Windows パソコンの元祖) に押され苦境に立たされました。

Apple 社内で浮いてしまっていた CEO のスティーブ・ジョブズは、細々と開発が行われていた Macintosh プロジェクトを半ば強引に乗っ取り、陣頭指揮を開始します。そして1984年、パーソナルコンピュータ「Macintosh」はこの世に出ました。


【Windows の誕生】

実は Mac の登場に非常に興奮していたのは、マイクロソフトのビル・ゲイツでした。スティーブ・ジョブズは口約束で「マイクロソフトのソフトをバンドルして販売してあげるよ」と言っていましたが、実現されず、かなりゲイツを怒らせたようです。

しかし、マイクロソフトは Mac で大ヒットのソフトを売り出します。それは「Microsoft Excel」です。そう、Excel は元々、Mac のソフトだったのです。

当時、MS-DOS では Lotus 1-2-3 のほうが売れていました。マイクロソフトの表計算ソフトは売れていなかったのです。

そこで、Excel を売るため、MS-DOS に GUI を被せるプロジェクトが進行します。それが Windows でした。現在の Mac と1984年に発売された「Macintosh 128k」の画面は驚くほどそっくりですが、最初の Windows と現在の Windows では似てもにつきません。しかし、Windows のおかげでマイクロソフトは Excel の売り上げを伸ばし、Lotus 1-2-3 を抜く事が出来ました。


【Mac とエヴァンジェリスト】

ちょっと歴史の話から離れて、当時の Mac と MS-DOS を搭載したパソコンがどのように異なっていたか、という意味で面白いエピソードがあります。

Mac が発売されてからしばらく、Apple には「エヴァンジェリスト」という職業の人がいました。彼らの仕事は「Mac らしいソフトを作ってもらう事を開発者に啓蒙する事」でした。

なぜなら、当時のパソコンの多くは「コマンド」を打ち込んで操作するものでした。しかし、Mac ではマウスでメニューを操作したり、オブジェクトを操作するなど全く違う操作のため、まずその概念を開発者にわかってもらう必要があったのです。

一例を挙げると「コピー／ペースト」の操作があります。MS-DOS のワープロの多くでは「コピー／ペーストする → どこを(に)？ → ここを(に)」という動きでしたが、Macのソフトは「ここを(に) → コピー／ペーストする」に変わります。今では全く当たり前ですが、当時では珍しい操作だったのです。