Nicotto Town



モグラ・・・その8

私の名前は夏子
職業は画家

最近ちょっぴり名前が知れてきた
マスコミでも美人画家として報じられた

いくつかの賞もいただいたし
絵も良く売れていた

良い事尽くめで調子に乗り過ぎたのかな
うぬぼれた嫌な人間になっていたの

ある日突然絵が描けなくなってしまった
原因はわからない

相談をしたくても
誰も私の話しなんか聞いてくれなかった

その時初めて人から嫌われているって
気付いたの

周りから人が去っていく
恋人と思っていた人も・・・

ある日気が付いたら
病院のベットの上にいたの

淡いピンクの天井が見えた
見ると点滴といろんな線が身体についていた

機械の音がピピッって鳴っている
私は生きているの?

私は死という最後の選択をした
それにさえも嫌われてしまったようだ

声を失ってしまったのに気づいたのは
その直後だった

心配そうにベッドの上から
私を覗き込み「夏子」と私を呼ぶ母がいた

私は泣いた
でも声が出なかった

退院後幽霊のような暮らしをしていた
絵は相変わらず描けなかった

山の中で道に迷った人のように
描き方を忘れてしまったのだ

半年が経った頃
私は夢をみた

山の中の白い家で絵を描いていた
純白なカンバスに向かって

側には毛並みのそれは美しい白いメスのヒョウと
光る目を持つモグラ・・・そして金色の猿が寄り添ってくれていた

私はなぜか幸せな気分になり
暖かな空気の中で絵を描きながら眠ってしまった

この夢が忘れられなかった
胸が久々に高鳴り手足が勝手に動き始めるのだ

私は入院時より診ていただいている
大学病院の精神科の先生にこの話をした

話したと言っても声が出ないので
筆談で訴えた涙がこぼれた

先生はおっしゃった
「僕の兄貴みたいだな」って

先生の兄弟は3人
私の主治医は末っ子だそうだ

家は名前を言えば誰でも知っている
東京の超有名な大病院

色々あって
病院は次男の方が継いだそうだ

長男の方は山奥のペンションで
自然治癒治療の研究をしているとか

「良かったら兄に診断してもらいますか
治療もしてくれますよ」

「私が言うのもなんですけど兄はかなりの腕前です
きっとあなたにとってプラスになる事でしょう」

「是非、お願いします」
瞬間ノートにそう書いていた

なぜか話を聞いただけで身体が軽くなったような気がした

それから2週間後
着替えと絵の道具一式を持ち私は山へと向かった

こうして私は藻倉一郎先生と出会った

言葉を失い絵も描けなくなっていた私に
その時不安は全く無かった

あの日見た夢は何だったんだろうか
正夢?

そうに違いない
私は今でもそう思っている


さて話を進めていきましょう・・・
絵の秘密とか・・・?













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2015/08/13 00:32
夜風様

ん~
難しい言葉です・・・

話しの展開はどうしようかな?

暖かな環境から暖かな心は生まれる
そんな気がしています^^
アバター
2015/08/12 18:08
『順境の美徳は節度であり、逆境の美徳は忍耐である。 』(英哲学者)

↑なんとなくこの言葉を思い出しました。

物語の雰囲気が転じ
読みながら浮かんできた光景に感動しました。
続きが楽しみです^ ^
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2015/08/12 11:03
夢子様

夢の中ではね!
光るモグラと金色の猿に変えますね
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2015/08/12 09:28
サーちゃんは猿だったんですね。

サアドは野球の守備の三塁手。
セカンドは二塁手。

わたしはショート(遊撃手)でした。



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