そこで待ってて
- カテゴリ:30代以上
- 2019/01/20 12:40:48
人の心は移ろいやすい。
「駄目だよ」
「なんで?」
「私達、付き合ってないじゃない」
ベッドに押し倒された私は
そう言って目の前の男、直也の胸を押して
ベッドの上に座り込んだ。
「でも、俺のことも好きなんだろ?」
心が痛む。
私には最愛の彼がいる。
裏切る事なんて出来ない。
けれど間違いなく
目の前の男にも恋愛感情を抱いているのだ。
「ごめん…私もどうしたら良いかわからないの…」
「美保、俺のところに来いよ。絶対幸せにする」
「うん…もう少し考えさせて」
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「ただいま」
「あっ、悠介。おかえりなさい」
「美保、ちょっと話したい事があるんだけどいいかな?」
「ご飯も出来てるし、お風呂にも入れるよ?」
「うん。その前にちょっと話したい」
そういって付き合って3年
同棲して2年の彼、悠介はネクタイをゆるめた。
「う、うん」
美保は戸惑った。
まさか彼の事がバレた?──…
「で、どうしたの?私に話って」
「うん。いきなりだけど…
美保、他に好きな人がいるのか?」
「えっ…な、なんで…?」
「昨日の夜、美保が眠っていた時
LINEが着信してて…
画面を覗いたら、聞いたことのない男の名前だった」
「あっ…」
確かに昨夜、「次はいつ会える?」という
誤魔化しきれないLINEが着信していた。
美保は黙り込んだ。
なんと返せば良いのかわからなかった。
「体の関係はあるのか?」
「ない…悠介がいるから…」
「じゃあ、今、俺の目の前で
その男の連絡先を全部削除出来るよな?」
「えっ…」
「そこで戸惑っちゃうんだ」
「私…悠介の事が大好きだけど…
他にも…好きな人が…」
次第に美保の目に涙がたまっていく。
「別れよう?」
悠介はそう一言だけこぼした。
「でも私…悠介の事も大好きだし…
勝手な事ばかり言ってごめんなさい。
私自身も、自分の気持ちがわからないの…」
「そんな事は許されないよ」
美保の瞳から伝った雫が
顎のラインに流れ、こぼれ落ちる。
「やり直したいなら一週間以内に
そいつの連絡先全部削除して。
それまで俺、友達んちに厄介になるから」
悠介は美保の目を見ず席を立っていった。
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小さな喫茶店で、直也と向かい合っていた。
「…ということなの」
「いいじゃん、別れて俺のところへこいよ」
「そんな簡単に割り切れないよ…」
美保は目の前のコーヒーに入れたミルクを
くるくるとスプーンで混ぜる。
美保と直也の馴れ初めは
友人に強引に参加させられた合コンの席だった。
連絡先を交換して、なんとなくやりとりをしていたら
二人で会うようになり、現在に至っている。
「悠介の事も…直也の事も…大好きなの。
最低だよね、私」
「最低でも俺は好きだよ」
「私…二人に、もう会わない方がいいのかもしれない」
「俺は美保に会いたい」
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美保のスマホが着信音を流していた。
「えっ…?」
電話の相手は美保と悠介の
大学時代からの共通の友人からだった。
悠介が厄介になっている友人というのも彼だろう。
「今、なんて…?」
スマホを握る手がブルブルと震えた。
気付くと美保はタクシーに飛び乗っていた。
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そこは真っ白な空間だった。
「嘘…」
ベッドに横たわる悠介は
真っ白な顔をして目を閉じていた。
ただ眠っているだけにしか見えなかった。
「美保の様子を見てくるって出かけて行って…
飲酒運転のトラックが赤信号を無視して
悠介がはねられたんだ…即死だったって」
美保は悠介の体に近づいた。
手のひらを触ると
そこにあったはずの温もりが
一切なかった。
悠介の死をリアルに感じさせた。
「私のせいだ…私の…
うちに帰ってきてくれるところだったんだ…」
美保の目からとめどなく涙がこぼれる。
「悠介…悠介…」
冷たい手をギュッと握って泣き続けた。
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煙突から煙があがっていた。
花が好きな悠介の棺には
たくさんの色とりどりの花を詰め込んだ。
今、荼毘に付されている。
美保はその煙をずっと眺めていた。
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直也には悠介の死を伝えなかった。
恐縮ですΣ(゚Д゚)
ありがとうございます♪
二兎追う者は一兎も得ず!
BAD ENDにしてしまいました(; ・`д・´)
方向性を間違った結果こうなりました(*ノω・*)テヘ
***はどうしても必要なことだからね!
ナツメくんのブログでも***を使ってほしいな( ̄ー ̄)ニヤリ
しかし、文才ありますね。
お見事です!
二兎追うものは一兎も得ずかぁ。
まさか「上手な振り方、振られ方」がこんな風になるとは…。
マジトーンの小説のセンスも抜群ですね♪
↑のような状況で…***、って、違う!
う、嘘ですよ〜( ̄▽ ̄;)
ともくんの涙GETぉぉぉう♪
な、直也か…!
続きはお茶ノはちゃんブログでw