Nicotto Town


人に優しく。


最後の駅


ピアノとバイオリンの音にあわせ、テレザは頭をトマーシュの肩にのせ、ダンスのステップを踏んでいた。

霧の中へと二人を運んでいった飛行機の中に二人がいたとき、テレザはこのように頭をもたれかけていた。

今、同じように奇妙な幸福を味わい、あの時と同じ奇妙な悲しみを味わった。

その悲しみは、われわれが最後の駅にいることを意味した。

その幸福はわれわれが一緒にいることを意味した。

悲しみは形態であり、幸福は内容であった。

幸福が悲しみの空間をも満たした。





ー 『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ ー




 




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