Nicotto Town


人に優しく。


  

善意

あの男の子のことを憶えてる、パパ?

ああ。

覚えてるよ。

今でも元気でいると思う?

ああもちろん。

元気でいると思うな。

でも迷子になっちゃったかな。

いや。

迷子にはならなかったと思うよ。

迷子になったんじゃないかって心配なんだ。

あの子...

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人類

誰かがわたしたちを必要とするのは毎日ってわけじゃないんだ。

実のところ、今だって、正確にいえば、わたしたちが必要なんじゃない。

ほかの人間だって、この仕事はやってのけるに違いない。

わたしたちよりうまいかどうか、そりゃ別としてもだ。

われわれの聞いた呼び声は、むしろ、人類全体...

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まあ気の毒に

ね、ワーニャ伯父さん、生きていきましょうよ。

長い、はてしないその日その日を、いつ明けるとも知れない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね。

運命がわたしたちにくだす試みを、辛抱づよく、じっとこらえて行きましょうね。

今のうちも、やがて年をとってからも、片時も休まずに、人のため...

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契約

彼は収容所に入ってまもないころ、天と契約を結んだ。

つまり、自分が苦しみ、死ぬなら、代わりに愛する人間には苦しみに満ちた死をまぬがれさせてほしい、と願ったのだ。

この男にとって、苦しむことも死ぬことも意味のないものではなく、犠牲としてのこよなく深い意味に満たされていた。

彼は意味も...

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誰であろうと

「あなたは立派な若者よ」と玄関先でミセス・ヒュームは言った。

「ミスター・トマスにあなたがどれだけ優しくしてあげたか、私は絶対忘れませんよ。あんなに優しくしてもらう権利なんかないことも多かったのに」

「誰だって優しくしてもらう権利はありますよ」と僕は言った。

「誰であろうと」

...

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