Nicotto Town


人に優しく。


自分の宝物


彼の心は重く、昨晩から物悲しい気分だった。

宝物を探し続けるということは、ファティマを捨てなければならないことを意味していた。

「わしがおまえを案内して、砂漠を渡ろう」と錬金術師は言った。

「僕はオアシスにずっといたいのです」と少年は答えた。

「僕はファティマを見つけました。僕にとって、彼女の方が宝物よりも大切です」

「ファティマは砂漠の女だ」と錬金術師が言った。

「彼女は、男は戻ってくるために遠くへ行かなければならないと知っている。それに、彼女はすでに自分の宝物を見つけたのだ。それはおまえのことだ。だから、彼女はおまえにも、おまえが探しているものを見つけてほしいと思っているのだ」





ー 『アルケミスト』 パウロ・コエーリョ ー




 




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