Nicotto Town



読書日記『悪徳小説家』

著;ザーシャ・アランゴ

評価 ★5
ちょっとあらすじ
ベストセラー作家のヘンリーは新作が残り20ページまで出来上がった時、愛人のベティに妊娠を告げられる。激しく動揺するヘンリー。妻のマルタにこれを知られるわけにはいかない。小説家の平凡な妻と思われているマルタこそが小説の本物の執筆者なのだ。ガラスの精神を持つ妻の安定のため作者を演じ、その生活を守るのがヘンリーの役割だった。
ベティとの待ち合わせ場所である人気のない崖の上で崖すれすれに停めたベティの車を見たヘンリーは己の車を接近させ、中の人間ごと車を崖の下におとしてしまう。
しかし帰宅した彼を迎えたのは殺したはずのベティだった。ベティによればマルタは夫の不倫に気付いており、話し合うためベティの車を借りて崖に行ったという。
ヘンリーは罪悪感と絶望から一度は自殺を考えるが、人生の後始末のため行動を始める。

感想
今年のベスト1かもしれません。
ノワール小説ですが、妻だけは愛している。目の前で死にかけた人間がいたら迷わず全力で助けている。しかし不倫は性処理と割り切っており、ベティをないがしろにするため人によっては不快感を感じるかもしれませんが、自分の価値観で生きているヘンリーの人格の複雑さに感心しました。
また、作中作(本当の作者はマルタ)が、本作のストーリー進行と二重になっているという構造も素晴らしかったです。

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2022/12/18 16:37
興味深い作品



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