Nicotto Town



四郎次郎を睨み据える


 牛太郎は扇子をぱちっと留めて、四郎次郎を睨み据える。
「あーやを妹扱いしているってことは、お前があーやに変な真似をしないと証明しているってことでいいんだろうな」
「と、と、当然ッス! 彩を雇ったときから、あっしはそういう目で見たことなど一度もないんスから」
「ならいい。とりあえず、あーやはおれに怒られると思って逃げちゃったから、あとで伝えておけ。伊賀の百地丹波に護衛の忍びを今後とも付けさせるよう言ってこいってな。もちろん、銭はお前が出せよ」
「えっ」<a href="http://www.watchsremarkable.com" title="http://www.watchsremarkable.com">http://www.watchsremarkable.com</a>

「え、じゃねえよ。お前の物はおれの物だろうが」
「で、でも、だったら、そんな余計な費用を出さずに、さゆりちゃんを――」
「黙っておれの言うことを聞けっ! いちいち逆らったら、織田家総力を上げてぶっ潰すぞっ! さゆりんの名前も二度と出すな。わかったなっ!」
「は、はい……」
 そうして、牛太郎は四郎次郎の儲けぶりを洗いざらい聴き出した。淀川水運の独占もさることながら、伊丹城改築の人夫出しの口利きでしこたま稼いだらしく、さらにそのさい荒木摂津守に貸し出した金銭の利子、さらにはヨハンを使って、西欧人がマカオを中継拠点としている南蛮貿易にも絡み始めたらしい。大陸産の上等な生糸を仕入れて京の呉服屋に売りさばいているそうで、
「あんまり派手にやると今井会長に目を付けられるぞ」
 と、牛太郎は心配したが、四郎次郎は今井宗久に売上の一部をしっかりと横流ししているらしく、
「会合衆とも持ちつ持たれつなんで大丈夫ッス」
 と、なかなか、ぬかりなくやっている。まあ、自分をおだてるためにここまで気配りしているのだから、四郎次郎もそれなりに悪徳商人になったのだろうと牛太郎は納得した。
「でも、旦那様」<a href="http://www.watchsremarkable.com/williams-8apv8u6-15.html" title="エポス 時計">エポス 時計</a>
<a href="http://www.watchsremarkable.com/tt1-8apv8u6-14.html" title="フォッシル 時計">フォッシル 時計</a>
 四郎次郎は辺りをちらちらと伺うと、牛太郎に体を寄せてきて、声を小さく囁いた。
「淀川の航路なんスけど、あっしらが独占できているのは石山本願寺が健在だからで、もし、おやかた様が石山を占拠したら、航路は自由通行になってしまいます。あっしもそれを見込んで他の事業に手を出しているんスけど、やっぱり一番稼げるのは淀川ッス」
「確かにそうだな」
 牛太郎は真顔で腕を組む。
「かといって難しい話だ。織田家としたら石山本願寺は追い出したいし、簗田家とすれば打ち出の小槌の本願寺には頑張ってもらいたい。ちょっとやそっとじゃ倒れないだろうけど、越前攻めをするっていう話だしな。長島も潰したし、越前加賀の一向宗も潰せば、あとは石山総本山だけだ。そのときになったら、信長様は十万以上の兵隊で総攻撃して、本願寺は一瞬で消し飛ぶだろうな」
「旦那様の力でもうちょっと長引かせてくんないスかね。南蛮貿易が軌道に乗るまでは」
「ふむ。ちょっと考えてみよう」
 牛太郎は煙管をくわえて口に溜めた煙を、細長く吹き出した。
あいり

 上総介が京での政務諸事を済まして岐阜に帰陣してきたが、牛太郎は、またしても戻ってこない。ただし、左衛門太郎には利兵衛からの文が、梓には牛太郎本人からの機嫌取りの短歌が届いてきている。
 毛利対策のため姫路に行くという。
「まったく」
 太郎は溜め息をついた。
「堀殿が教えてくれたが、これはおやかた様からの命ではなく、自らが進んで事を運ばせたらしい。越前攻めの話は耳にしていたはずなのに。佐久間様にまたしてもぐちぐちと叱られてしまったよ」
「奥方様だってご機嫌を悪くしていますよ」
 と、あいりは唇をつぼめて不満をあらわにしていた。
「だって、長篠から帰ってきてすぐに行かれてしまったでしょう。奥方様の気持ちもわかりま 




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