Nicotto Town


俄さんの若干オタッキーな日記


スケッチその2

前の続きです


「いや、それがな。」
放課後の中庭で、士門は同じ陰陽師仲間である焔魔堂ろくろに繭良の様子を聞いてみた。しかし、良いものではなかった。
「あいつがLINEブロックしたから、本人から様子を聞けなくてさ。勘ちゃんに聞いてみたら、ひたすらケガレを払っているらしい。」
『まるで死人みたいスね~。あのかわいい繭良ちゃんがどっか行っちゃったみたいス~。まぁ、原因がわかればなんとかできると思うスけど~。』
士門が勘九郎に電話をかけ、直接聞いてみたが、このように良い情報が入らぬまま電話を切ることとなった。
「…原因…。」
ろくろと一緒に士門と勘九郎の話を聞いていた紅緒がつぶやいた。
「なぁ、どう思う?勘ちゃんは原因がわかればなんとかできるかもって言ってた。何か心当たりはないか?」
ろくろがそうたずねたので士門は、
「そうだな…」
と切り出した。
「そういえば、失恋して苦しんでる、とかいう情報が入ってきたな。」
と言い、先日夢で見たことを話した。陰陽師は夢でメッセージみたいなのを受け取ることが多々あるので、二人ともすんなり信じてくれた。しかし、
「まぁ、これですべて話したわけなんだが、う~ん、良い情報はな…」
ふと顔を上げると、ろくろと紅緒が白い目で士門を見つめていた。
「いたわー。こんな所に情報持ってるやつが。」
「…そう…ね。…不覚…。」
「ちょっと待て、どういうことだ?しかも音海の好きな人も知らないのに。」
士門が慌ててそう訪たずねると、ろくろがしびれを切らしたように
「あのなぁ、好きでもないやつに、『助けて』とかいうやつがいるかよ。」
と、言った。
「と、いうことは…。」
士門は頭をフル回転させる。
「音海の好きな人は俺ええええええええええええ!」
絶叫した士門に驚きもせず紅緒は、
「行って…あげて…ください…。音海さんは…優しいだけに…自分の気持ちを…かくして…しまいます…。だから…。」
と、言って土御門島への切符を手渡した。
「あぁ。」
それだけ言ってチケットを握りしめた。
中庭には、園芸部が咲かせたアネモネの花が、咲き誇っていた。

アネモネのもう一つの花言葉
希望


※またまたくそ小説ですが、楽しんでいただけたら幸いです。




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