私、モモニャンというらしい(1)
- カテゴリ:自作小説
- 2019/03/25 20:33:29
さて、
Seesaaで書いていてもコメントももらえないし、そのくせUUはいっぱいいるんだけどなんか悪いことに使ってそうだぁ、ボクの妄想を!だからコメントいただきたく二コタで書くよ。
この話は小説のウソとマコトを織り交ぜながらではあるが一応ドキュメントだ。長い長い10年前ぐらいからのことを書くけど途中力尽きるかもしれないが悪しからず。
私、モモニャンというらしい
さて、生まれたまんまのころの話をしようか。親はヤマネコのようなキジトラだ。私を産んですぐにどこかへ行ってしまったような見た目のまんまのヤマネコのような方だった。ヤマネコ、キジトラ、ときたらやはり私は猫である。
それは今となってはどうでもいいとして当時私は食べるものを追うのに必死だった。川のボラをとって食べたり、スズメをとって食べたり。ボラをとって食べるのは口を開けてプカプカしてるのを自慢の運動神経で水にババッッっと飛び込めばなんとかなる。水に慣れるのは少々手間が要ったが。しかしスズメをとるには気合がいる。鳥の肉は私の好みであるが捕まえるのに手間がいる、飛び立って逃げるのが早いのだ。ようよう忍び足に風向きなどを考えないと失敗してしまう狩りだ。
ある日、私はそれを狩りに村のクリの木にさばくりついているスズメを狙っていた。季節は春先、花冷えのころだったと思ったが。一羽でも獲れれば万々歳なのであるがウワっっと飛びついたときに少しのミスで!。。。獲れなかった。その時にクリの木の近くの古民家から聞こえてきた声がこうだ。
「そんなんじゃ失敗するよぉ~。。。」
「あ~!それはダメだな!」
「うわぁっっキュ♥」
とかであった。この声に私は興味を持った。なんと猫に好かれる声と語り口なのだろうと。しかし?徐々に気づいていったことなのであるが彼は私のことなど知りもしなかったということ。後にであるが知った、彼は自分の思ったこと(妄想世界)をたまらず!時に大声で口にするときがある。それを近所の人々は、
(なんだろう?)
と思ってもほっておくか、(自分のことを言ってる!)と勘違いする人によって分かれると思うが後者のほうは興味津々になってしまって軒下でずっと聞いていたいという近所の名物になっていた。それもいいとして私はエサには困らなくなっていた。狩りも流々、お天道様も心地よい。雨も時には降るけれど秘密の軒下に避難するだけ。そこには何匹もの猫がやってくるのだがなぜか彼に興味を持っている類は皆無だった。私は自分のことをよっぽど奇特な猫なんだろうと思いながら丸くなって目を閉じ毛についた雨水を乾かしていた。
とある日、彼ととても仲良くしたくなった!大好きな「鯛」の話をしていたからである。一度旅館で泥棒した時にとても旨かったのでそれから「鯛」の大ファンである。彼と「鯛」の話がしたい!しかし私も猫であるからバレないように彼の古民家にやってきた。実は玄関の前のマットで皆にわかるように主張しているのを知るまい。楽しい楽しい声を聞いていたが彼は宇宙人だ。勘づいたらしくトコトコと、床や地面に気持ちがあるとしても(悪くない)と思われる泳ぐ鳥のような足取りが近づいてきた!彼は玄関を開けた。私は即座に隠れた。彼は(気のせいか)という面持ちで古民家の、多分台所に戻っていく。私もプロのようなものだから彼が戻った後は玄関のマットの上で自分の存在を主張。また彼はまた猫に好かれそうな声と語り口で落語めいたことを言っている。私は「あ~。。。そうそう」とか「ほう、その通り」とか相槌を打っていた。しかし、私の好きという思いが通じたからかまた彼は玄関に出てきた。今度は買っている犬のジンのエサを携えていた。玄関のマットの上にそれを優しく、(召し上がれ。。。)と言わんばかりに袋からつぐ彼。しかし!
(エサには困っていない!エサには困っていないのだ!)
その日二人は目が合った。日はとっぷりとくれるどころか夜、お天道様が上がるほうが近いぐらいだったので闇夜に紛れる必殺(影分身)目をくらます私なのであったが彼は神妙な顔つきになり庭木の陰に私を見つけた。仲良くしたいのはどちらものようだった。しかし「おいで?」と言われても野良の私は行かない、じっと見つめていただけであった。やがて彼はあきらめるように古民家の中に帰っていた。そしてやがて猫に好かれる声と語り口で私の心を悟るように、
「そぉかぁ~~~~。。。エサはいらないんだよぉ~~~、君と仲良くしたいんだよぉ。。。」
といった。私は彼の古民家の石じゅうたんに転げて背中を掻きながら「その通り」と思った次第である。