Nicotto Town



Hurry up kid rhapsody 下


授業も終わり帰りのHRが始まろうという時間、電算室に忍び込むひとつの影があった。

ほとんどの教師が自分のクラスに向かうこの瞬間こそ

彼女が待ち望んだ時であった。

カタカタカタ

キーを叩く音だけが、電算室に流れていく。

・・・今年度分学費    未納  クリア

・・・今年度分PTA会費   未納  クリア

・・・今年度分学園供託金 未納  クリア

・・・綾波レイ 家族状況 優 

「これでよし」

自分ひとりしかいない部屋で、誰に告げるでもなく彼女は声を発した。

次に考えなければならないのは、あの男のことだ

目撃者は殺せ、それが組織の鉄の掟。

気は進まないがヤルしかないだろう

「お前が悪いんじゃない、運が悪かっただけさ」

一人そうつぶやくと 部屋を後にした。



「綾波さ~ん。チョット待って!」

不意に呼び止められて足を停めた。

まさか彼のほうからノコノコ現れるとは…。

「はぁはぁ~歩くの早いんだね。 なんでHRサボっちゃったの?」

うまい言い訳が思いつかず無言で立っていると彼は一枚の紙を取り出してきた。

「これHRで配られたプリント」

なんだかおかしくなってきた。

明日にも死のうという男が宿題を気にしている。

加えてその暢気さに、すこしイラッときた。

彼女は受け取ったプリントを目の前で2つに破って捨てると

すれ違いざまに彼に耳打ちした。

「…お前を殺す」

「え?」

何がなんだかわからずに尻餅をついた彼を残し、彼女は校舎を後にした。



翌日、今日が最高のタイミングの日。

学校を休み(実際は屋上に潜んでいたが)そのときを待っていた。

やがて式典が始まり、生徒たちはキッチリと列をつくって並んでいた。

スコープ越しにターゲットを探す……。 いたマドンナだ。

ひつじ学園長の隣にいて落ち着かない様子で毛の手入れをしている。

「死にはしないよ。ちょっと気絶してもらうだけ。その隙にそのネックレスをいただきたいの」

彼女はスチーム銃を取り出した。

会場を混乱させるための仕掛けはすでに用意してある。

マドンナを気絶させた後、このスイッチを押して会場を混乱させる。

そのドサクサの中、水天の涙を頂きずらかる。

我ながら完璧な作戦だ。

スチーム銃のトリガーに指を掛けた瞬間

「綾波さん?」

ドキッ!

「なな何!?またアンタなの??」

例の彼が駆け寄ってきた。

「式典に出席しないの? 探してみたらやっぱりここに居た」

彼の笑顔とは対照的に彼女はげっそりした。

(タイミング悪すぎだろぉぉ!!)

「計画微変更。先にこっちを始末する」

彼にスチーム銃を向け、狙いを定め……。

「何これ?エアガン? ダメじゃん学校にこんなもの持ってきたら」

彼はいつの間にか彼女の手前にいて銃をスッと取り上げた。

「な!?返せ!!」

「ちょっと!そんな暴れないで」

二人がもみ合っているうちに、彼女のポケットに入っていたボタンのスイッチが入った。

次の瞬間…。

バンッ! パンッ!! ボムッ! ヒュ~ドドン! ヒュ~ドドドン!!

学園のあちこちで爆発音が轟いた。混乱させるための装置が起爆してしまったのだ。

完全に機を逸した。今回は諦めざるを得ないだろう。

だが、正体を知っているこの男だけはこの場で始末しなければならない。



爆発と悲鳴で校庭はパニック状態だというのに

彼は気に留めるでもなく、熱心にスチーム銃を眺めていた。

「綾波さんって女の子なのにこういうの好きなんだね」

「ええ、まあちょっと興味はあるわね」

「やっぱりちょっと変わってるなぁ」

もはや迷いはなかった。

「ねえ、少しだけ目を瞑っていてくれる?」

「え? どうして?」

「もう~ 女の子に言わせる気?」

彼は何のことか気が付いたらしくあわてて目を瞑った。

ナイフをゆっくりと構えのど元を狙う

息を吸う 殺す 息を吐く

何万回も繰り替えしてきたことだ。

息を吸ったその瞬間。

爆発したコンクリートの欠片が青少年目掛けて飛んできた。

咄嗟に、床に落ちていたスチーム銃を拾い抜く撃ち抜く。

コンクリートは四散してあたりに飛び散った。

(何故!?何故助けたの? こいつは知りすぎている

 死んでくれたほうが都合がいいはずなのに…)

「アヤナミさん?」

彼は不安げな声を上げた。

「ちょっとまってね、心の準備が・・・」

「そっか~」

スチーム銃の照準を彼の眉間に合わせトリガーに指をかける。

だが、どうしても引けない。

(何故殺せない…ちぃ)

時間的にもそろそろ限界だろう。

右手の人差し指で、彼の唇をちょんと触れると

脇を抜け走り去った。



「あ~突然のことだが、綾波は転校してしまった。

別れがつらいというので今日まで何も言わなかったが

みんなにヨロシクとのことだ」

あのキスの後、彼女は転校してしまった。

2度ぶつかった彼女が同じ人物なのか、別人なのか

いまでは、もう確認しようがない。

でも、なんだかまた会えるような気がして

今日もパンを咥えて走る。

右手にはパックのグレープフルーツのジュースを持ちながら。





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2011/11/17 20:53
Re:ぱあるさん

怖くはないでしょw わりと間抜けな人ですよ

スチーム銃は水鉄砲の一種なので届出不要です。
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2011/11/17 20:51
Re:そあらさん

こんなもんでどうでしょうか?なるべく書いてもらったのを生かす方向でやってみました。

また機会があったら、よろしくお願いします。
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2011/11/17 20:48
Re:futabaさん

続きはあるんでしょうかね~?わかりません

ざっくり書いたので繋がる伏線もないし終わりかな~
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2011/11/16 21:01
結構、内容は怖いですなぁヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ

安全なはずの学園生活にも闇があるのですねぇ~。

銃刀法違反で、届けなきゃ。
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2011/11/16 11:52
おお!キレイに直してくれたんだね^^
修正するって言ってたからもっと内容を大胆に変更するかと思ってた。
キレイにまとめてくれてありがとです☆
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2011/11/16 09:54
ロマンス系がさらっと書けるのがすごいなぁとw。
彼女との再会が楽しみだね♬。



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