Nicotto Town



聖夜を過ごす君はここにはもういない



特別な夜にしたかった

けれどそれはもう叶うことはない

夜の帳が足早に下りると、色とりどりのイルミネーションが

街を昼間とは違った色で染め始める

すれ違う誰もが幸せそうな顔をしていて

その波から遠ざかるように自転車のペダルに力を込めた



やはり手袋とマフラーは必要だな

赤信号で止まると両手をこすり合わせて暖めた

十二月の風はとても冷たく、その寒さは骨身に染みた

赤い信号が青へとバトンタッチを済ませたところで

再びペダルに力を込めるが、違和感

ん?

思うように車体は前へ進まない

あれ? 

後輪をチェックするとすっかり空気が抜けてしまっていた。

しかたがない押していくか

パンクか空気が抜けたのか今はわからない

たまにはこういう日もあるさ

街灯もあまりない道を自転車の明かりを頼りに歩き始めた



ふと街路の曲がり角でを自転車を押してきた手を止めた

いつか彼女が見上げた冬の空を僕も仰いだ

何で今僕はどうしてこんなに一人なのだろう

床に落として割れたグラスは、どんなに欠片を集めたって

元のグラスには戻らない

そんなことはわかっている

なのに欠片を拾い集めることを止められない

どうして元には戻らないのに元に戻そうとするのだろう?

バラバラの欠片を全てつなぎ合わせた時

一体何を取り戻すのだろうか?


星の綺麗な夜だった

見上げた冬の空にはオリオンが輝いていた

オリオンには袈裟懸けの要領で

赤と青の星が輝いている

赤い星はペテルギウス

青い星はリゲル

リゲルもいずれは赤い星になるのだというが

それはまだ数千万年先の話だ

今はまだ青白い光を湛えている

古来より人は、星を数えて旅をしてきたという

星の明かりはきっと多くの人を助けてきたのだろう

僕の贈った青い星が君を守ったように

君のくれた赤い星は僕を守るだろうか

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2014/12/29 00:51
今年も彼はお誕生日おめでとうを言ってくれなかった。こんな変わった彼氏は初めて。
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2014/12/28 14:00
特別な日に彼女への特別な想いが伝わってきす。
特別な日だから、とても切なくなりますね。
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2014/12/28 10:55
恭介さん お久しぶりです。
そして、なんだか お久しぶりに
素敵な作品を読ませていただきました。

流石に・・というか
当たり前に 恭介さんの作品は やっぱり秀逸ですね。
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2014/12/24 20:28
きっと守ってくれるさぁ♪

そして、『君』も同じ星空を仰いでいるさぁ。

同じことを考えているのかもしれないよぉ?



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