Nicotto Town



ガーデンレストラン

白いラティス風の扉を開けると、そこは別世界のよう。
赤・白・ピンクの咲き誇ったベゴニア。オレンジとクリーム、紫と桃色のダリア。
ラベンダーやマリーゴールド、赤やピンクのインパチェンスなど
数多くの花々が咲き乱れ、天然石の敷石の小道を囲みます。

うっとりと眺めていると、バッタが飛び跳ね、こおろぎが煉瓦の陰からのっそり顔を出し、
じっと見上げます。黒い羽に青い模様の揚羽や、他の美しい蝶、多種の蜂も
飛び交い、お気に入りの花にとまって蜜を吸います。
生い茂ったデュランタから垂れる紫の花房に、蛾が群がりますが、その特等席には
大きなナイフを持ち構えた13cmは優にあるお客様が、控えています。
このお客様がいるおかげで、蛾の幼虫から葉が守られ、殺虫剤が殆ど要らなくなりました

先日、デュランタを移動させた時、お客様は驚いて、壁をよじ登ってしまいました。
それから暫くお姿を拝見しなかったのですが、水やりの時に、インパチェンスの陰に
顔を出しました。ホースが近くを通るので、食事の邪魔をするなと、ナイフを持った
両手を振り上げます。水やりが終わった時、敷石とホースの間に倒れていたのを発見。
これは大変!ホースの下敷きになってしまったのかしら?と枝で起こそうとしたのですが
お客様は手足をジタバタさせ、ひっくり返って抵抗されます。
それでも、鳥に見つかるといけないので、何とかインパチェンスの中に降ろしました。
花々の中に横たわる巨体。しきりに腕を動かし口に何かを運びます。
お水を飲んでるのかしら?と観察したけれど、隠れる気配がないので、
ひょっとしたら、明日はこの場所で、動かなくなったお客様を見るのかしらと思いました。

次の日の朝、お客様はその場所にいらっしゃいませんでした。
お食事に出かけたのかしら?元気になって良かったわ。これで葉っぱは安全ねと
窓の下の大きな切り株型プランターを動かしました。
と、その時大きな黒っぽい影がのそりと動きました。きゃっと悲鳴をあげ、後ずさり・・。
すると、それは今まで見たことのないお客様でした。大きなひし形の頭。
トカゲのような身体と手足。動き方もトカゲのようですが、太っちょです。
そんなに素早い動きではなく、胴体と尻尾をふりふりしながら出てきて、
じっとこちらを観察しました。胴体にトカゲの様な模様はないんだと顔を近づけて
見ようとしたら、慌てて?フリフリ逃げて行きました。

ユーモラスなお客様の話しをし、娘と一緒にネットで検索すると、ヤモリと出ました。
ヤモリとイモリの違い。
ヤモリはハ虫類でトカゲの仲間。人家近くで暮らし、家の周囲の害虫や昆虫を食べる為
家を守る=ヤモリと呼ばれるようになった。
イモリは両生類で水辺で暮らす。井戸にいて虫などを食べたので、
井戸を守る=イモリと呼ばれるようになった説もある
へぇ~~~っ。確かに昔、家でヤモリを見たら縁起がいいとかいう話を聞いたような・・
もう一度、ヤモリの欄を読みました。家の周囲の害虫や昆虫を食べる。
昆虫・・・(@_@;) インパチェンスの中には・・(V)o¥o(V) !!!

ヤモリは夜行性だし、デュランタのような細い枝に登れる体重ではないので
蛾は食べません。
翌日、もう一度インパチェンスの中を探しましたが、お客様の姿は見当たりませんでした
そして、ダリアやその他の植物の葉には、幼虫が食べた穴が沢山あいていました。

今日も雨の中、大輪の白い菊、黄色やピンク、オレンジの金魚草、桔梗、ランタナ
日日草、ゼラニウムやコスモスが、滴の重みで頭を垂れ、それでも色鮮やかに
咲き誇っています。
うっとりするような美しいガーデンに、明日はどんなお客様がいらっしゃるのでしょう。
ここはガーデンレストラン。時が止まったような静寂と色とりどりの花の中に
ひっそりとした緊張感が息づいているのです。






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2015/10/06 21:39
四季さん

鳩はフンの被害にあうから困りますよね。
留守のお部屋を知っていて、ベランダに卵を産むという話もききます。
そのうちに、四季さんのベランダでヒナが孵るかもしれませんねw

セロ弾きのゴーシュ タイトルは知っていても読んだことがありません。
小学校の各クラスにあった学級文庫の本棚は、いつも全て読んでいたのに、
その本はありませんでした。今度古本屋に行った時に覗いてみよ~っとw
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2015/10/06 21:35
ポンさん

なるほど、ありや蜂ですか・・・想像がつくような・・・。
働き蟻、働き蜂・・まるで、日本人を形容しているようですね。

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2015/10/05 22:52
いろんな訪問者の絶えない、セロ弾きのゴーシュみたい 笑
虫や小動物を惹きつけるのは、お庭が魅力的な証ですね^^

うちのベランダにはいつも鳩が@@;
もうこないで~ 部屋を覗くのやめて~
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2015/10/04 21:26
 「地球の長い午後」で繁栄しているのは、高度な社会構造を
築いている蟻や蜂です。なるほど、という想いです。
 まあ、ゴキもいるでしょうが、ゴキは人間の生活環境に依存して
いる部分も多いので、それ程ではないかも^^。
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2015/10/04 19:56
ポンさん

ビンゴ!正解はかまきりさんですw 虫が大嫌いな私は、以前人と待ち合わせた時、
遅れて走ってきた人のパンツに大カマキリがへばりついているのを見て、
きゃ~っと悲鳴をあげながら、こっちへ来ないで~と逃げました。
その人は虫は平気だったため、面白がってそのまま追いかけてきたので、ほんと恐ろしい思いをしましたw
そんなに嫌いだったのに、ガーデンには命が溢れていると分かると、これも庭の一部分なんだと感じられ
背筋がぞくぞくするほどの嫌悪感はなくなりました。今は普通にそばで見られます。
「地球の長い午後」その中で生き残っているのは、ゴキでしょうか?
手塚治虫の核戦争後のマンガがありましたが、地下にもぐって住む人間たちのペットは
ゴキでした。太古の世界からずっとしぶとく生きていて、これからも生きぬいていくと言われていますね。
主人が冗談で???人類が絶滅しても、ゴキとりりちゃんは生き残ると、いつも言いますw
まったく何てこと言うのと思いながら、思わず笑ってしまいます。


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2015/10/04 19:48
ハルさん

うふふ・・さすがハルさん。ちょっとユーモラスな感覚を交えた小説風に書きました。
私は虫が嫌いなので、本当は綺麗な花だけの話の方が書きやすいのです。
でも、こんな小さな庭に、気にも留めなかった命が沢山いると分かると、
じっと観察して、どんな風に成り立っているのか知らずにはいられませんw
以前伝言板で書いた2匹の赤ちゃんバッタを負ぶった大きな親バッタも
つい2日前に見かけ、その赤ちゃんばったが随分成長しているのに驚きました。
まるでコバンザメみたいと可笑しくなりました。 

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2015/10/04 19:34
ひろひろさん

実は、私は、虫が大嫌いなのです。 数年前までは、花にもあまり関心がなく
お庭の手入れができないから、マンションか、庭のない家がいいと思っていたほどですw
ところが、マンションは上階の子共の躾の悪さで辟易し、やっぱり戸建てがいいと
買い替えたところ、ガーデニングにハマってしまいました。
最初は、訳も分からず植えて、それが咲くと大喜び!でもアブラムシやバッタや芋虫に
背筋がぞぞっとしていたのが、好きにはなれないものの、だんだん慣れてきました。
元々観察するのが好きなので、こんな小さな庭にも自然界の掟が存在するんだなと
感心しています。


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2015/10/02 22:41
とっても素敵♪

お客様出てきてほしいですね^^
家にいるやもりくんはまだちいさくて
一度ありんこをパックって食べたのを見たことあります^^
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2015/10/02 21:33
 ガーデンも熾烈な弱肉強食の世界ですね。両手にナイフを持っているのは
カマキリさんでしょうか?でもそんな世界にヤモリがいるのは珍しいのかも。
ヤモリは家の中・・、というイメージが強いです。
 前にも書いたかも知れませんが、このブログを見て、「地球の長い午後」という
小説を思い出しました。人間文明が滅び植物の世界になった地球、その中での
生き残った動物達の行動、ガーデンレストランの世界なのかも知れません。
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2015/10/02 19:45
まるで小説の一説を読んでいるような文章ですね。とても想像力が掻き立てられます^^
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2015/10/02 10:30
そうなんですね~。
綺麗に咲く誇る花々の中にも、生きるための戦いが・・・

ヤモリ、私も調べてみますね。



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