ああなつかしい
潮の香りがする
砂はここで生まれ
貝はここで生まれた
生きている
砂は生きている
貝は生きている
青い空のもと
澄んだ海水のもと
白い砂は
純白の貝に恋をした
数十年が経った
純白な貝殻は波に砕け砂と同化した
いつものように強い日差しが降り注ぐ
透明な海の底で
今...
ああなつかしい
潮の香りがする
砂はここで生まれ
貝はここで生まれた
生きている
砂は生きている
貝は生きている
青い空のもと
澄んだ海水のもと
白い砂は
純白の貝に恋をした
数十年が経った
純白な貝殻は波に砕け砂と同化した
いつものように強い日差しが降り注ぐ
透明な海の底で
今...
よいしょ
よいしょ
なぁちゃんが持っているのは
小さな青いシャベル
いっしょうけんめいに庭の土を
小さな赤い鉢に入れています
これに種を植えるの
水をあげるときれいな花が咲くの
そして種をまきました
出来ましたよ
どうぞ食べて下さい
なぁちゃんはじょうろで水をあげました
いっぱい
いっぱ...
目を瞑る
見えない物を見るために
例えば音
例えば香り
例えば夢
例えば愛
目を閉じる
何かを見るために
それは暗さの奏でる
少しだけの贅沢
そして私は目を開く
今を見つめるために
目の前の景色に
両手を伸ばす
音や香りや
夢や愛を掴み取るために
明日のための
今を掴み取るために
...
チョコレートが
赤い血であったら良いのに
朝の駅
改札口を出ると広いコンコースだ
献血を呼びかける声が
ひと際こだまする
横を見ると駅ビルの入り口付近に
バレンタインのチョコが並んでいる
ばりっと綺麗な制服を着た定員さんが
笑顔を振りまく
献血の声はさらに大きく
通路に響き渡る
これで何...
雲が太陽に目隠しをしたが
光はそれに負けなかった
だから白く光る残雪が
眩しかった
私は再び歩き始めた
この冬空の下へと
目に見える全てのものに
感謝をしながら
ここより続く雪道に
頼るべき道しるべは無い
雲が隠した太陽に向かって
ひたすらに進め
一人だけの足跡を残しながら
春に向かって...